【60代のリフォーム】夫婦が今もこの先も快適に暮らすための工夫とは? マンションのスケルトン改装実例[前編]
老後の心配は先取りしすぎない
リフォームをするとなると、あれもこれもと機能を詰め込みたくなるが、ご主人が「いる」「いらない」を冷静にジャッジ。
「食洗機は設置しませんでした。普段は夫婦2人だけですから、手洗いするのも手間ではありません。キッチンコンロはIHではなくガスに。この先、火を使うのが心配な状態になったらIHに替えられるよう、下に電源だけ用意してもらいました」
トイレの手すりも、今は不要と判断した。
「体が衰えても症状によってつかまる場所が違うので、『今はまだつけないほうがいい』とリフォーム会社の人からアドバイスを受けて。いつでも手すりをつけられるように、壁の中には下地材を入れてあります」
リビングとつながるオープンキッチンが住まいの中心
「アイランドキッチンにして正解でした」と、たなかさん。立ち位置を確保しやすいので、「家族が集まったときは、あっちからもこっちからも手伝ってもらえます」。
愛犬・チェスターくんも自由にくつろぐ(取材当時)。
ものを減らして暮らしもシンプルに
こうして完成した、たなかさんの住まい。新しい暮らしを始めるにあたり、家の中のものも見直した。
「食器と洋服はかなりの量を処分。大切と思えるものだけで、シンプルに暮らせるようにしました」
家具はなるべく買い足さず、以前から使っていたものを再利用。
「扉や引き出しがついていたキャビネットは、扉などを外して食器収納に。普段使いの食器を並べているので、洗って、ふいて、すぐ戻すことができるようになりました」
古いものに手を加え、使いやすいように工夫する。そんな丁寧な暮らしぶりもまた、心地よい家づくりの秘訣なのかもしれない。
昔のキッチン
以前は壁に隔てられ、奥まった場所にあったキッチン。
「家事をしていると、家族がおしゃべりしていても声が聞こえにくいような状態でした」
左端の後ろの黒いシステム家具は、扉を処分して食器入れとして活用中。
※この記事は「ゆうゆう増刊」2022年11月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
撮影/柴田和宣(主婦の友社)
【後編に続く】