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【ガーデニング】植えっぱなしで楽しむ「アネモネとすてきな仲間たち」で春を先取り!

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光武俊子

秋植えの球根や、芽出し球根*のポット苗で年末から出回るアネモネ。まだ寒さ厳しい時期から、鮮やかな花色で次々に咲くことから人気があります。一方、野山に春の訪れを告げるアネモネの古い仲間たちの魅力にも触れてみませんか。
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アネモネの名づけ親はマキシモヴィッチ

植物には植物分類による学名と、その国々での呼び名である和名や英名などがあります。

アネモネという学名は、ロシアの植物学者マキシモヴィッチが名づけました。NHK連続テレビ小説「らんまん」をご覧になっていた方にはお馴染みの名前ですね。
「日本の植物学の父」といわれる牧野富太郎が、初期に集めた植物標本に学名をつけたのがマキシモヴィッチです。

アネモネの和名はイチリンソウで、当時は形態の似ている多くの原種がアネモネ(イチリンソウ)属に分類されました。例えば、秋に咲くシュウメイギクや、山野草として親しまれるニリンソウやキクザキイチゲなどです。

そのなかで、地中海地方原産の原種が交雑して誕生したボタンイチゲ(学名:アネモネ・コロナリア)から、華やかで多彩な園芸品種が誕生。そのため園芸でアネモネといえば、ボタンイチゲの園芸種を指すようになっています。

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野山に咲くボタンイチゲ

ボタンイチゲ(A.コロナリア)の華やかな世界

ボタンイチゲ(A.コロナリア)の園芸品種には、丸みのある花弁でカラフルな一重咲きの‘デ・カン’や八重咲きの‘セント・ブリジッド’、コンパクトな株で大輪の‘ポルト’などが定番です。

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アネモネ・コロナリア‘デ・カン’

ポルトの中でも、花芯に入る濃い紫色が放射状のグラデーションを描く‘ポルトパール’は、エレガントな花形と色があいまって人気を集めています。近年はセミダブルの品種も登場。大人っぽい魅力があります。

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セミダブルの‘ポルトパール’

これらは早ければ11月から5月の大型連休ころまで咲き続けます。秋に植えるアネモネの球根は干からびてごく小さなものですが、花がらを摘むと次々に花が咲き長く楽しめます。花後に花芯の黒い球体が残り、やがてほぐれてタネを飛ばす姿もユニークです。

地中海沿岸地方の原産なので、高温多湿を嫌います。水はけのよい場所や鉢植えで育て、うまく夏越しできると秋にまた芽を出して開花する「植えっぱなし球根」です。肥料などはとくに必要ありません。

日本の野山を飾るスプリング・エフェメラル

かつて世界に100の原種があるといわれたアネモネの仲間。その属名となったイチリンソウは本州から九州や四国に分布する日本原産種です。深く切れ込んだ小葉を3枚ずつつけた葉のつけ根から、純白の花を立ち上げます。

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イチリンソウ

これによく似た花を2輪以上立ち上げるのがニリンソウで、こちらは北海道にも分布。どちらも草丈が低く、林の縁や明るい林床にカーペットのように咲き広がると、幻想的な美しさです。タネを結ぶと茎葉は枯れてしまうので、春にだけ現われる「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」と呼ばれます。

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ニリンソウ

アネモネの仲間にはほかにもアズマイチゲやキクザキイチゲ、ユキワリイチゲなど、美しいスプリング・エフェメラルがあります。これらは山野草の売り場に苗が並びますが、水はけのよい用土で育てるちょっと上級者向けの花。高山植物園などで眺めるのも楽しみ方のひとつです。

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アズマイチゲ

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キクザキイチゲ

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ユキワリイチゲ

植えつけとは、苗や苗木、球根などを土に植える作業のことを指します。適切な時期や深さを守ることで植物の発芽や発根が促され、順調な生育につながります。植物ごとに適した用土が望ましく、植えたあとはしっかり水やりをして根づかせることが大切です。植物の種類によって用土の種類や肥料の施し方が異なるため、事前に育て方を確認しておくと安心です。

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八重咲きとは、花びらがたくさん重なって咲く花のことです。通常の花よりも華やかでボリュームがあり、豪華な印象を与えます。バラ、ダリアなど、多くの植物に八重咲きの品種があります。

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一重咲きとは、花びらが1列だけ並んでいるシンプルな形状の花を指します。このタイプの花はナチュラルな雰囲気や素朴な美しさが魅力で、ガーデニング初心者にも人気があります。一重咲きの典型例として、ヒマワリやコスモスなどがあります。この構造は花の中心部が目立ちやすく、虫を引き寄せやすいため、庭の受粉環境を向上させる役割も持っています。

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落葉樹とは、秋から冬にかけて葉を落とす樹木のことです。紅葉や黄葉を楽しめる種類が多く、サクラ、カエデ、イチョウ、カエデ、イチョウなどがその代表例で、ガーデニングにも人気があります。落葉することで冬場の水分消費を抑えるなど、自然界での適応力もポイントです。

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山野草とは、山地や野原などの自然環境に自生する草花の総称です。季節の移ろいとともに可憐な花を咲かせるものが多く、例えばフクジュソウ、イワウチワ、ホトトギスなどが知られています。近年では自然の趣きを大切にしたガーデニングスタイルとして、鉢植えや盆栽仕立てで育てる愛好家もふえており、日陰や半日陰などの環境を生かして、庭の一角に山野の風情を取り入れることができます。

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夏越しとは、暑さに弱い植物を夏の高温や強い日差しから守り、元気な状態で夏を乗り切らせる管理のことです。鉢を日陰に移動する、風通しをよくする、水やりを工夫するなどの対策が必要です。

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原産地とは、植物がもともと自生していた地域のことで、その植物が最も自然に近い形で育つ環境条件(気温、降水量、土壌など)を知る手がかりになります。例えば、地中海沿岸原産のラベンダーは乾燥した日当たりのよい場所を好み、湿気には弱いといった具合に、原産地を知ることで栽培環境の調整や越冬管理の参考になります。園芸で植物の性格を理解するには、学名や品種だけでなく、この「原産地」への理解も大切です。

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花芯とは、花の中心部分に位置し、雄しべや雌しべなどの生殖器官が集まる領域を指す言葉です。特に観賞価値の高い花では、この部分の色彩や形が印象を左右します。ダリアやバラなどでは花芯の詰まり具合や形状が咲き方の美しさに関係し、園芸品種としての魅力にもなります。また、開花後の花芯の変化を観察することで、受粉や花の寿命を見極めることができます。

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花弁とは、一般に「花びら」と呼ばれる部分で、花の中でも最も視覚的に目立つ構造です。昆虫を引き寄せるための鮮やかな色や形、香りを備えており、園芸植物ではこの花弁の特徴が観賞価値に直結します。八重咲きや一重咲きの違いも花弁の枚数に関係しており、育種や品種改良ではこの部分の改良が重点的に行われます。雨や暑さで傷みやすいため、花弁の丈夫さもガーデナーには重要なポイントです。

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肥料とは、植物が健やかに生長するために欠かせない栄養素を補給する材料のことです。おもにチッ素、リン酸、カリウムを三大要素とし、それぞれ葉の生長、花や実の形成、根の発達を助けます。有機質肥料と無機質肥料に分類され、有機質肥料は堆肥や骨粉など自然由来で、土壌改良にも効果的。一方、無機質肥料は成分が均一で即効性が魅力です。ガーデニングでは植物の種類や生長段階を考慮し、適切な肥料選びと施肥のタイミングが大切です。

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用土とは、植物を育てるために使う土のことです。植物の種類に合わせて、水はけ、保水性、通気性、栄養のバランスを考えてつくられています。園芸店では「観葉植物用」「野菜用」「多肉植物用」など、目的別の用土が販売されており、初心者でも使いやすくなっています。

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球根とは、植物の栄養を蓄えた地下の器官で、翌年の発芽や開花に必要なエネルギーを蓄える役割を持ちます。チューリップやヒヤシンス、ユリなどが代表的な球根植物で、秋に植えて春に咲く秋植え球根、春に植えて夏に咲く春植え球根などに分類されます。球根は植え方や植えつけ時期、水はけのよい土などの条件を整えることで、毎年美しい花を咲かせることができます。

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植物分類学において「属名」とは、植物の分類階級の一つで、種をまとめる単位として使用される名称です。例えば、バラ属は「Rosa」、ラベンダー属は「Lavandula」のように、属名は通常ラテン語で表記されます。ガーデニングにおいて植物を選ぶ際、この属名を理解していると、同じ属内で性質や育て方が似ている植物を簡単に見つけられるため、非常に役立ちます。また、学名を知ることで、地域や品種に惑わされることなく植物を特定する助けにもなります。

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学名とは、植物や動物を世界共通で呼ぶために使われるラテン語などによる正式な名称で、属名と種小名の組み合わせから成ります。例えばバラの学名は「Rosa hybrida」で、学術的な識別や国際的な情報交換に不可欠です。和名や英名と異なり、学名は重複や誤認が少なく、分類体系に基づいた整理が行われています。

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品種とは、ある植物の中で、花の色や形、実の大きさなどの性質が、明らかに他の植物と異なる栽培植物のことです。園芸品種や栽培品種の略称です。

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原種とは、交配などで改良された植物の親や祖先にあたる種のことです。人間の手による品種改良や交配が行われていない、自然のままの状態で存在する野生種のことを指します。

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