【追悼・25歳のみけちゃん】人間なら116歳の奇跡の猫逝く・編集担当が語る取材秘話
撮影はみけちゃんのモーニングルーティンに合わせて早朝スタート。知らない人間たちが部屋に現れると、弟猫ピース君は早速こたつに籠ってしまったのに、みけちゃんは全く動じず。女性カメラマンが大きなレンズを向けても朝食をカリカリポリポリと悠然と食べているようすに、さすがみけちゃん! とスタッフ全員感服しました。
その後、順調に撮影が進んだ午後のこと。村上さんがスタッフにシュトーレンをふるまってくださり、みんなでおいしくいただいた後、午睡中のみけちゃんを残し、お庭のロケハンに向かいました。一通り拝見して室内に戻ると、なんとちゃぶ台にみけちゃんが伸びあがって、残ったシュトーレンをぺろぺろ舐めているではありませんか! すぐに引き離しましたが名残惜しそうなようすに、一同爆笑。おいしいものを食べるのが、みけちゃんの生きるパワーの源でした。
そこから村上さんから続々といただく原稿を毎日夢中で読み、みけちゃんのたくさんの写真に埋もれるように掲載カットを選び、4月26日の発売まで、怒涛のスピードで進行しました。それは、みけちゃんが自分に残された時間を知り、急いで本にしたかったのかもしれません。いずれにしても「みけちゃんづけ」の濃密で幸せな日々でありました。
そして無事に本が発売となると、すぐに重版がかかり、その重版の見本が村上さんに届いたまさにその日、みけちゃんは旅立ちました。「ちゃんと本が売れてよかったにゃわ」という声が聞こえるようです。
みけちゃん、私を選んでくれて本当にありがとう。かわいいみけちゃんの写真をいっぱい載せたからね。みけちゃんの長い猫生のエピソードも村上さんの筆でしっかりと伝え、多くのシニア猫オーナーのお役に立てる情報も載せたよ。内容に満足してもらえたかな。
みけちゃんのインスタグラム
https://www.instagram.com/happy_cat222/
は、訃報を受けてなおフォロワーがどんどん増え、今もまったく減るようすがありません。お空から「おはようにゃわ」という挨拶がまた届くのをみんな心待ちにしているのかもしれません。
みけちゃん、あなたは多くの人に勇気を与えた本当に奇跡の猫だったね。見事な猫生、見事な最期でした。みけちゃんに会えて本当によかった。ありがとうございました。
でもね。やっぱり寂しいよ、みけちゃん。
文/森信千夏
みけちゃんの飼い主
村上しいこさんのプロフィール
猫好き児童文学作家。三重県生まれ。『かめきちのおまかせ自由研究』(岩崎書店)で第37回日本児童文学者協会新人賞、『れいぞうこのなつやすみ』(PHP研究所)で第17回ひろすけ童話賞を受賞、2015年に『うたうとは小さないのちひろいあげ』(講談社)で第53回野間児童文芸賞を受賞、『なりたいわたし』(フレーベル館)で第70回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞。著書多数。
【村上しいこInstagram】
https://www.instagram.com/shiiko222/
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