もしもの場合に備えて知っておきたい【今どきの葬儀事情】一般葬、家族葬、直葬の違いとは?
喪主側の葬儀にまつわるQ&A
Q 葬儀について、今から考えておいたほうがいいことは?
A 葬儀社の目星をつけ、見積もりをとって比較検討を
心残りのない葬儀ができるかどうかは葬儀社次第。万一のことがあってから葬儀社を選ぶのではなく、事前に3社程度目星をつけて比較検討をしておきましょう。葬儀は地方によって慣習が異なるので、地元の葬儀社がおすすめです。
インターネットで葬儀社を探すことが多いと思いますが、ホームページに「直葬10万円~」とあっても、それはあくまでも最低料金の目安。東京では火葬・骨壺料金、控室の利用だけで10万円以上かかります。葬儀社のスタッフと相談のうえ、明確な見積もりを出してもらいましょう。スタッフの対応もチェックしたいもの。費用は、小規模な葬儀でも、祭壇にお花を用意するなど、送る思いを込めた何かを加えたいと思えば、100万円くらいにはなるでしょう。
Q 葬儀のかたちは、何を基準に決めたらいいですか?
A 声をかける範囲、会場、希望する内容、予算をもとに決定
葬儀のかたちを決める基準としては、声をかける範囲と人数、葬儀の場所と葬儀内容、予算などがあります。
範囲と人数は、その方の年齢や立場によっても変わってきます。場所は地方では葬儀社が葬儀式場を所有していることが多く、希望の式場があれば葬儀社もおのずと決まります。葬儀社所有の式場がなければ、規模、立地、予算、日程などによって葬儀社を通じて選ぶことになります。
葬儀内容は葬儀社によりさまざまなプランが用意されていますので、どのような葬儀にしたいのか、希望を伝えて葬儀社と相談を。
近親者のみで行う家族葬のデメリットとして、以前は「親戚の理解が得られずトラブルになることも」などといわれていました。しかし、コロナ禍で「家族のみの火葬式ですませました」というかたちも受け入れられるようになってきました。遠方から来る親戚の負担を考えて一日葬にする、という方もいます。
直葬にするとき気をつけたいのは、菩提寺がある場合です。菩提寺のお墓に納骨するには戒名をつけてもらわなければなりません。直葬では宗教儀式を行わないので、事前に菩提寺に相談をしたほうがいいでしょう。
葬儀の費用は、声をかける範囲が狭くなれば式場も祭壇も小さくなり、飲食や返礼品の費用も減るので、トータルでは安くなります。しかし、家族葬でも一日葬でも、式場費、遺体を搬送・安置するための費用、火葬費などはかかるため、極端に安くなるわけではありません。また、一日葬で通夜式を行わないからといって、僧侶のお布施が一般葬の半額になるというわけでもありません。
簡素化が進んでいますが、葬儀は親戚などが集まることで、これまで知らなかった故人の一面を知ることができたり、集まった人たちと悲しみを共有したり、遺族が死を受け入れ悲しみを癒やしたりするためのものでもあります。そういった面も考慮して、決めていただきたいと思います。
※この記事は「ゆうゆう」2023年8月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
※2023年7月22日に配信した記事を再編集しています。
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終活コンサルタント、社会福祉士、介護福祉士
吉川美津子
きっかわ・みつこ●葬祭業者、仏壇墓石販売業者勤務、専門学校での葬祭ビジネス関連学科の運営メンバーなどを経て独立。著書に『葬儀業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』『お墓の大問題』『ゼロからわかる墓じまい』など。現役の介護職でもある。
きっかわ・みつこ●葬祭業者、仏壇墓石販売業者勤務、専門学校での葬祭ビジネス関連学科の運営メンバーなどを経て独立。著書に『葬儀業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』『お墓の大問題』『ゼロからわかる墓じまい』など。現役の介護職でもある。