【身近な人が亡くなったとき】通夜までに決めるべきこととは?50代から心得ておきたい冠婚葬祭の常識
50代になると、親や家族など身内が旅立つこともふえていきます。身近な人を亡くしたときは、悲しみが先立ち、何をすべきか混乱しがち。まず、通夜までに決めるべきこと、手配することなどを心得ておきましょう。現代礼法研究所主宰の岩下宣子さんに教えていただきます。
危篤や死亡の連絡は、早朝、深夜でもいい
連絡は、時間帯や相手との関係を問わず、電話でかまいません。朝9時以前や夜9時以降にかけるときは、「朝早く(夜分)に恐れ入ります」というおわびから話し始めます。
死亡はまず、次の人に知らせます。
家族と近親者
配偶者、親、子、孫、きょうだい、おじ、おば、甥、姪くらいまで。
交流はとだえていても、親、子、きょうだいなど血縁の濃い人には知らせたほうがよいでしょう。
特につながりの深い友人・知人 /勤務先、学校などで親しい人
ほかの親戚や知人は、通夜・葬儀の日程が決まってから知らせます。日時や場所を伝えるのが目的なので、電話のあと、メールで詳細を知らせるといいでしょう。遺族がすべて連絡するのは大変なので、代表者に頼んで連絡してもらいます。
末期の水をとり、遺体のお清めをする
臨終が告げられると、血縁関係の濃い順に「末期の水」をとります。死者があの世で渇きに苦しまないようにという願いを込めた風習とされています。
その後、遺体のお清めを行います。現代では病院で死亡した場合は看護師が、自宅なら葬儀社が行います。最後に「死に化粧」を施し、頬がこけていれば含み綿を入れます。
故人の遺志を尊重して葬儀の形式を決める
日本では葬儀の9割が仏式ですが、神式、キリスト教式、無宗教式などもあります。故人の遺志を尊重して決めましょう。規模も、故人の遺志や交際範囲、経済面などを考えて決めます。
かつては本家・分家の関係、地域の慣習などに左右されましたが、現在は故人と喪家の意向が優先される傾向にあります。最近では大規模な葬儀は行わず、家族だけで最後の時間をゆっくり過ごす家族葬を選択する人もふえています。
危篤や死亡の連絡の仕方
危篤のとき
「夜分恐れ入ります。◯◯◯◯の長女の明子でございます。実は、入院中の父が危篤になりました。息のあるうちに、ひと目会っていただけませんか」
死亡のとき(直後)
「◯◯◯◯の長女の明子でございます。本日、夕方に父がなくなりました。とりあえずお知らせいたします」
死亡のとき(葬儀日程決定後)
「突然の電話で申しわけありません。◯◯◯◯の長女の明子でございます。実は、父が昨日亡くなりました。通夜は○月8日午後6時から、葬儀・告別式は○月9日午前10時から、○○(場所と、仏式、神式、キリスト教式など宗教も入れる)で行います」
臨終から葬儀、一周忌までの流れ(仏式)
臨終
末期の水をとり、自宅などへ搬送、北枕にして安置する。喪主を決める
・死亡診断書を受けとる
・病院への支払いをすませる
↓
通夜・葬儀の決定
宗教者や葬儀社に連絡し、通夜・葬儀の日程などを決める
・死亡届の提出
・火葬許可証の交付
↓
通知
親族や知人に訃報を伝え、通夜・葬儀日程を知らせる
↓
通夜の準備
会葬令状や返礼品を手配するとともに、故人を納棺する
↓
通夜
遺族として焼香するとともに、弔問客に応対する
・通夜での喪主のあいさつ
・通夜ぶるまいでのあいさつ
↓
葬儀の準備
弔辞を依頼し、火葬場へ行く人数を確認して車を手配する
↓
葬儀・告別式・出棺
焼香、弔問客への応対。最後の対面をして棺のふたをする
・出棺時のあいさつ
↓
火葬
近親者は火葬場へ行き、火葬ののち骨揚げを行う
・火葬許可証を係員に渡す
・埋葬許可証を受けとる
↓
遺骨迎え・精進落とし
遺骨が自宅に戻ったら、僧侶による読経(還骨法要)ののち、精進落としの宴を開き、出席者をもてなす
・喪主あいさつ
・僧侶、世話役へのお礼のあいさつ
・僧侶にお布施を渡す
↓
葬儀後の事務処理など
事務を引き継ぎ、関係者へのお礼回りと法要の準備をする
・葬儀社への支払いを行う
・各種名義変更
・解約等手続き
・年金、健康保険などの手続き
↓
四十九日法要
近親者に案内し、法要を営む。本位牌を仏壇に納める
・施主のあいさつ
↓
納骨
故人の遺骨をお墓に納める。墓がない場合は手配する
↓
香典返し
四十九日法要後、忌明けのあいさつ状と香典返しの品を送る
・忌明けのあいさつ状作成
遺品整理・遺産相続
遺品を整理し形見分けを行う。遺産相続の話し合いを行う
・遺言書の有無の確認、検認
・必要なら「相続放棄」手続き
・相続税の申告・納税
一周忌
1年後の命日またはその前に、近親者を招いて法要を行う
・施主あいさつ
※この記事は『50代からの冠婚葬祭きちんとマナー』岩下宣子監修(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。
※2023年8月13日に配信した記事を再編集しています。
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現代礼法研究所主宰
岩下宣子
共立女子短期大学卒業。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流の小笠原清信氏のもとでマナーを学ぶ。1985年、現代礼法研究所を設立。多数の企業や公共団体などでマナーの指導、研修、講演、執筆活動を行う。NPO法人「マナー教育サポート協会」理事長。『美人のことば練習帖』(三笠書房)、『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(KADOKAWA)、『書き込み式おつきあいを大切にする安心メモリー帖』(池田書店)、『冠婚葬祭マナーの新常識』(主婦の友社)など、著書、監修書多数。
共立女子短期大学卒業。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流の小笠原清信氏のもとでマナーを学ぶ。1985年、現代礼法研究所を設立。多数の企業や公共団体などでマナーの指導、研修、講演、執筆活動を行う。NPO法人「マナー教育サポート協会」理事長。『美人のことば練習帖』(三笠書房)、『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(KADOKAWA)、『書き込み式おつきあいを大切にする安心メモリー帖』(池田書店)、『冠婚葬祭マナーの新常識』(主婦の友社)など、著書、監修書多数。
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岩下宣子監修
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