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【お墓にまつわるQ&A】おひとりさまの場合、実家の墓に入ることはできる? etc.…

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ゆうゆう編集部

Q お墓がないのですが、お骨をずっと家に置いておいても大丈夫ですか?

A 自宅安置は違法ではありませんが、将来のことも考えて

遺骨を自宅で保管することは、違法ではありません。大切な人の遺骨をそばに置いて供養したいと考える人もいれば、経済的にお墓を建てることができず、自宅に置いている人も少なからずいます。

ただ、そのまま自宅に置いていると、保管している人が亡くなったとき、何らかの事情で管理できなくなったときに、次の世代が遺骨をどうするか悩むことになります。それを避けるためには、お墓や納骨堂へ納める、散骨するなどを考えたほうがいいでしょう。

手元で供養したい場合は、納骨や散骨の際に一部を取り置いて、小さな骨壺や手元供養専用アクセサリーなどに入れ安置する方法があります。なお、自宅の庭に遺骨を埋めるのは違法です。

Q 海や山への散骨は誰でもできますか?

A 海洋散骨がほとんど。信頼できる業者に依頼しましょう

散骨は「墓地、埋葬等に関する法律」に規定がなく、「葬送のために節度をもって行えば違法ではない」という解釈のもとに行われてきました。2020年に厚生労働省が散骨事業者に向けてガイドラインを発表。それには散骨場所として陸地も挙げられています。が、条例で散骨を禁止している自治体もあり、私有地であっても行うのが難しく、現在は海への散骨がほとんどです。

ガイドラインには、海岸から一定の距離以上離れた海域で、遺骨を粉状にし、宗教感情、漁業者、自然環境、安全に配慮して行うことなどが記されています。散骨を希望する場合は葬儀社などに信頼できる業者を紹介してもらいましょう。船に同乗しての散骨や散骨の委託などもできます。

Q お墓を承継したくない場合はどうしたらいいですか。 「墓じまい」についても教えてください

A 祭祀承継は拒否できないが承継後は「墓じまい」も可能

お墓や仏壇、仏具などを「祭祀財産」といい、それを引き継ぐ人を祭祀承継者といいます。祭祀財産は祭祀承継者が単独で引き継ぐという法律があります。祭祀承継者を選ぶ方法にも民法による規定があり、亡くなった人が指定していればその人が、指定がなければ慣習によって選ばれ、指定も慣習も明らかでなければ最終的には家庭裁判所が指定します。

祭祀承継者に指定されれば拒否はできず、お墓を引き継ぐことになります。ただし、引き継いだ後、そのお墓をどうするかは自由です。お墓が不要であれば、「墓じまい」(改葬)も可能です。

墓じまいとは、既存のお墓から遺骨を取り出して新しいお墓に移し、元のお墓を撤去、墓地を更地にして返却するまでの一連の作業をいいます。遠くてお参りができないお墓を整理し、自宅近くのお墓に移す場合、承継者がいない(あるいは今後いなくなるため)既存のお墓を処分して永代供養墓に移す場合などに行います。いずれにしても遺骨の行き先を決めておかないと手続きができません。

なお、お墓が菩提寺にある場合は、予想外の離檀料を求められることも。早めにお寺に相談をしたほうがいいでしょう。

お墓コラム② 夫の実家のお寺から年に1回届く手紙

お寺にとって、お墓の放置は看過できない問題。檀家としてのつながりが途切れれば、お墓は無縁墓になり、お寺の存続にも関わります。

地方にある夫の菩提寺から、年に1回、先祖の年忌法要の案内や管理費の知らせとともに、「お墓を改葬する場合は檀家を離れるためのお布施が必要で、管理ができないのであれば合葬墓に移すこともできる。葬儀を行うときは必ず連絡をすること」と書かれた手紙が届くという人もいます。

※この記事は「ゆうゆう」2023年8月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

※2023年8月11日に配信した記事を再編集しています。

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監修者

終活コンサルタント、社会福祉士、介護福祉士

吉川美津子

きっかわ・みつこ●葬祭業者、仏壇墓石販売業者勤務、専門学校での葬祭ビジネス関連学科の運営メンバーなどを経て独立。著書に『葬儀業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』『お墓の大問題』『ゼロからわかる墓じまい』など。現役の介護職でもある。

きっかわ・みつこ●葬祭業者、仏壇墓石販売業者勤務、専門学校での葬祭ビジネス関連学科の運営メンバーなどを経て独立。著書に『葬儀業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』『お墓の大問題』『ゼロからわかる墓じまい』など。現役の介護職でもある。

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