【要約小説】名作のあらすじを読もう!
【戦後80年に読みたい小説】原民喜の『吾亦紅』あらすじ紹介。亡くなった妻を慕う気持ちを描いた私小説
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ゆうゆう編集部
原民喜の『吾亦紅(われもこう)』は、戦時下の昭和を舞台に、亡き妻との日々を追憶する作品です。飼い犬マルやカナリヤ、日常の情景を通じて蘇る、愛と喪失の記憶が胸を打ちます。その深い余韻に、あなたも浸ってみませんか?
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物語は1匹の犬、マルとの出会いから始まります。ある日迷い込んできた、病弱な犬のマルは家に居つきます。やがてマルが家に馴染んでいく日々が穏やかに描かれ、その後、犬獲りや病気といった困難に見舞われつつも、なんとか家族として元気を取り戻します。しかし、時間が経つにつれマルは老いていき、最後には悲劇的に命を落とします。その背景には、戦争と妻の入院、そして著者自身の無力感が重なります。
カナリヤが象徴する自由と愛
カナリヤを飼育するエピソードは、妻の愛情や自由への憧れを象徴しています。カナリヤの囀り(さえずり)が家庭を和ませる一方で、飼育中に起きる不幸は、儚(はかな)い生命の象徴のようでもあります。特に、1羽の雛が飛び立っていく場面は、自由と別れ、そして妻の喪失感が交錯する印象的なエピソードです。この時期から妻の健康状態が徐々に悪化していく様子も描かれています。
妻の病と織田作之助の哀悼
物語後半では、妻の病状が徐々に悪化していく様子、そして彼女を支える夫の奮闘が詳細に語られます。「蛞蝓」(なめくじ)「昆虫」「草木」などと題された章では、自然や生命の象徴を通じ、妻と過ごした日常が回顧されます。また、戦中・戦後の厳しい環境を反映し、夫である著者自身も身体的・精神的に深い傷を負っていく姿が描かれています。特に、妻が亡くなった夜の描写は、日常に潜む死の影を圧倒的なリアリズムで感じさせます。
最後に残るのは「吾亦紅」
物語の締めくくりでは、「吾亦紅」という花が重要なシンボルとして登場します。妻が亡くなった翌日、著者が仏壇用に買った花が吾亦紅であり、それにまつわる風景が感慨深く描かれています。草花を通じて蘇るのは、妻と過ごした平穏な日々と、戦争による破壊、そして失ったものの大きさ。この吾亦紅が意味するのは、忘れ得ぬ人への最大の敬意と愛です。
まとめ
『吾亦紅』は、原民喜が妻との日々を回想し、愛と喪失を綴った私小説です。日常の些細な出来事や、飼い犬やカナリヤ、自然の情景を丁寧に描くことで、戦時下のかけがえのない家庭の姿を浮き彫りにしました。そして、無慈悲にも訪れる別れの影が、読者に深い余韻を与えます。妻に捧げられた一篇の追憶は、愛の儚さと強さを同時に感じさせ、読む人の心に長く残ります。この機会にぜひ、家族との時間や絆の大切さを再認識してみてはいかがでしょうか。
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