鈴木ちひろの「旬の韓国歩き」
誕生日を祝ってBTSのジミン一色になった、ソウルの聖水洞にある「聖水連邦」
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鈴木ちひろ
K-POPアイドルではおなじみ! ファンの出資で推しの誕生日をお祝いするセンイル(誕生日)広告。10月13日に27歳(韓国の数え年では28歳)の誕生日を迎えたBTS・ジミンのイベントは、やはり規格外の規模で大いににぎわっていました。
ジミンでラッピングされた外観に、うっとり見とれて
毎回レベル違いのセンイルイベントで楽しませてくれるARMYたち。9月のジョングクに続き、今月はジミンのセンイルがあり、ソウルや釜山のバスや地下鉄の広告はジミン色に染まりました。中でも一番の目玉だったのが、ソウルのホットプレイス・聖水洞にある「聖水連邦(성수연방)」という複合施設の大型ラッピングイベント。10月7日~9日の週末限定で開かれる予定が、あまりの盛況ぶりに13日の誕生日当日まで延長されたほど! 聖水連邦としても、いつも以上にお客さんでにぎわってウィンウィンだったのでは?!
カフェやレストラン、雑貨店などが入る聖水連邦。オープンして4年近く経つので最近はそこまでの混雑は見られませんでしたが、この時期だけはオープン当初以上の活気に! 私は初日と2日目に行ったのですが、初日は平日とは言え一番人気のフォトブース前は行列、2日目は土曜日だったので会場の外までの大行列で、何も知らない道行くアジュンマに「何をやっているのか?」と尋ねられました。
なかには、日本をはじめとする海外からの来客もいました。コロナによる規制が解除されたばかりの10月中旬だったため、そこまで多くの外国人観光客は見当たりませんでしたが、もし入国制限が無かったら……会場周辺はパニックだったと思います。この盛況ぶりはSNS上でも見られ、期間中の韓国のツイッターのトレンド上位には「聖水連邦」の名が。私も息子のママ友のカトクバン(LINEのグループトークのようなもの)で「ジミンのセンイルイベントに来ている」と送ったら、みんなが「ジミンの誕生日か!」「相変わらずキレイだな」「いいなあ、現実逃避」と反応してくれました。
ちなみに、私の周りの韓国人は日本人のマチュア世代がK-POPアイドルなどにどっぷりハマるのが理解できないとよく言います。もちろん好きだったり、応援したりというのはありますが、推し活するほど熱心な人はあまり、いやまったく見たことがありません。私は日本人なので、夢を持って推し活をすることは日々の活力にもなりますし、好きな人を見てキュンキュンすることはいくつになっても大切なことだと思いますが、周りの韓国人はその熱は家族に向けるべきだと考えています。よく息子と腕を組んで歩く韓国アジュンマを見ますが、韓国男子はいつまでも母親を大事にしてくれるので、母親もいつまでたってもアドゥルパボ(息子バカ・日本語でいう親バカのような表現)に。息子が一番だと信じ、母と息子の距離が近いが故、嫁 vs 姑のバトルの根源ともなるのですが……。
誕生日イベントを超えて、ファンたちが楽しむお祭りのよう
話がそれました。ジミンのセンイルイベントに話を戻しますね。当日、聖水連邦に来たかった日本のファンの方も大勢いると思います。いたるところがジミンでラッピングされた外観は、ファンならずとも見とれてしまうほどの美しさ。施設内のピザ屋さんやカフェでもコラボイベントが実施されて、フォトジェニックなコーナーがそこかしこにありました。
これがすべてファンによる出資だと思うと、本当に頭が下がります。そして完成度の高さよ! 写真のセレクトやデザインも秀逸で、このイベントに心から楽しんで取り組んでいたのだろうなあと、見ていて感じました。そして訪れたファンもハッピーな気分に。来年はどこで開かれ、どれだけの人が訪れるのか、今から楽しみです。
町工場が残る雑多な街であり、おしゃれカフェのメッカ聖水洞
ここからは聖水連邦がある街・聖水洞について触れてみたいと思います。今ではカフェの街として知られる聖水洞ですが、もともとは小さな町工場や車の整備工場、靴の卸売り店などが軒を連ねる、おしゃれとはかけ離れた街でした。それが2016年ごろから工場をリノベーションしたカフェがじわじわと増え、インスタの流行と共にカフェやおしゃれな雑貨店、レストランなどのオープンラッシュが続くホットプレイスに。訪れるたびに新しいカフェができているので、情報を追いかけるのも大変です。今回は聖水洞のブームを牽引しているカフェ「大林倉庫(대림창고)」の向かいにポップアップストアとしてオープンしていた「宇宙ドーナツ(우주도넛)」に行ってきました。
※現在はポップアップストアの運営を終えています。
韓国ではよくある、ポップアップ形式の店舗。たった3週間ほどのオープンのために、ここまで本格的な内装に仕上げているのが驚きです。そして、あっけなく撤収するというのももったいない。韓国に来て思うことは、韓国は環境問題についてはまだまだかなということです。貧しい時代が長かったせいか、新しいことが美化されて、古い物を大切にするという意識があまりありません。カフェもできては消え、の繰り返しで、韓国を知る人なら、ガイドブックに載っていたお店がもう閉店、なんてこともよくあると思います。
以前は街によくあったアジュンマが営む食堂も減り、最近は食の欧米化が日本以上に進んでいるソウル。そうそう、キムパッ屋も激減して、チェーン店以外はほとんど見かけなくなりました。なかには「手のかかるキムパッよりもコーヒーを売ったほうがラクだしお金になるので、カフェが急増している」という人もいます。とはいえ、まだまだ昔ながらの景色もそこかしこに。おしゃれなカフェもいいけれど、私的には昔ながらの食堂や市場、街並みが残ってくれたらいいな、と思っています。
おまけ
10月になり一気に冷え込んできたソウル。このピリッとした冷たい空気が韓国ならではで、韓国では夏よりも冬が好き、と言う人が多いです。韓国旅行の見通しがやっとついてきた今日この頃。次回は人波が戻ってきたと言われる明洞に行ってみたいな、と思っています。(変更の場合もあります)
※情報は2022年10月のものです。