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白井法子の「イギリス流 植物のある暮らし」

【イギリス流】ガーデナーの冬の楽しみ方。ウィンターガーデンとアフタヌーンティーの魅力

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白井法子

ガーデニングの本場イギリスでは、庭を作ることや植物を育てることは生活の一環であり、習慣のようなもの。イギリスで暮らし、各メディアにも記事を寄稿しているガーデンライターの白井法子さんが、現地からガーデニングにまつわるコラムをお届けします。

ガーデニング愛好家にとって、「冬」は大切な季節。花は少なくなり、葉っぱも落ち、庭全体ががらんした雰囲気になるからこそ、デザインや骨格がはっきりと見えきて、翌シーズンの計画が立てやすくなるからです。イギリスの熱心なガーデナーたちは、カタログの中からタネや苗を注文したり、グラスハウス(温室)やポッティングシェッド(タネまき小屋)で冬支度をします。



また、冬に美しさを発揮する植物ばかりを集めた「ウィンターガーデン」というコンセプトも定着しています。冬の寒さで鮮やかになった枝が庭に彩を与えるヤナギやミズキ。何株かまとめて植えることでインパクトが出ます。若い枝ほど色づくので、春にしっかりと剪定することが大切。

寒い日陰でもしっかりと花を咲かせるクリスマスローズは、イギリスでもガーデナーたちの強い味方。古くから「悪霊から家を守る」という言い伝えがあることをご存知ですか? ローマ時代の自然歴史家の書物に、クリスマスローズは家屋や家畜の浄化に用いられたという記録があるそうです。イギリスで玄関先にクリスマスローズを植える人が多いのはそれが理由だとか。花が咲く前に葉っぱをほとんど刈り込んで花を十分楽しみます。

春咲きの小球根たちは、ひっそりとした冬だからこそ、その可憐な花が引き立ちます。2月、純白のスノードロップとキイロセツブンソウから始まり、クロッカス、シクラメン、スイセン、チューリップと、まるでリレーのように咲いては消えていく球根は「ウィンタージェム(冬の宝石)」という言葉がぴったり。春咲き球根を植えることはストレス解消になるということが科学的に証明されているそうです。

そして、ガーデナーのもうひとつの冬の楽しみは、ガーデンやガーデンセンターでのアフターヌーンティー。イギリス人にとって、ガーデンなどに併設しているカフェやティールームのメニューはとても重要です。着いたら、まずは紅茶とケーキを楽しんでから庭を散策する人の多さに驚きます。客足の減る冬ならではのメニューも見逃せません。窓からの季節は色とりどりではないものの、次々と餌を求めてやってくる鳥たちの姿を見ているだけで満足してしまいます。グレーの体にオレンジの胸毛のロビン(ヨーロッパコマドリ)。黄色とブルーのコントラストが美しいブルーティッツ(アオガラ)など、ガーデンバードを見るためだけに庭を訪れる人も少なくありません。イギリス人ガーデナーのほとんどは、自然保護やワイルドライフ(野生動物)の保護にも熱心です。

©️Barnsdale Gardens

気になるアフターヌーンティーの内容はこんな感じ。

サンドイッチ:ローストビーフ+ホースラディッシュ

ホースラディッシュは日本語で西洋ワサビ。すりおろすと辛味が増し、ローストビーフとの相性が抜群。

サンドイッチ:ハム+マスタード

サンドイッチの定番。

サンドイッチ:ブリーチーズ+クランベリージャム

イギリスならではの組み合わせ。ホットサンドにするとチーズが溶けてさらに美味しい。

サンドイッチ:キュウリ+クリームチーズ

アフターヌーンティーが生まれたビクトリア時代、温室でしか育てられないキュウリのサンドイッチは「テーブルの貴婦人」と呼ばれ愛された。

チキンとベーコンのフィロパーセル

フィロパーセルとは、うす〜いペーストリー生地で包み込んだ料理。

ホームメイドスコーン+ジャム+クロテッドクリーム

イギリスでは、なくてはならない定番。

イートンメス

フレッシュなイチゴと生クリームに、メレンゲを混ぜ込んだデザート。イートン校の生徒がこのデザートを落としてぐちゃぐちゃ=メスになったのが始まりとか。

冬のガーデンを散策した後のアフターヌーンティーは格別。紅茶やコーヒーが体を温め、心まで豊かにしてくれます。

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