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【医師チャ・ジョンスク】ドタバタ不倫劇では終わらせない、という作り手の矜持が伝わる13〜16話【韓国ドラマ】

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marumi

さて、ジョンスクの決断は――。判を押すことを拒んでいた離婚届を手にしたイノが、必死に説得する。「離婚に同意するし、手術を受けろ。生きるんだ。離婚はしても子どもたちの親として会いたい」。不倫のいちばんの被害者は、決して当事者たちではない。大人の勝手に振り回される子どもたちなのだ。イノが子どもたちを深く傷つけたことにようやく気づけたことで、それには肝臓移植という命に関わるできごとが必要だったけれど、ジョンスクはイノの申し出を受け入れ、生きる覚悟を決める。

肝臓移植を前に一時帰宅し、子どもたちに置き手紙をして冷蔵庫を得意の作り置きおかずでいっぱいにし、キッチンの収納扉をペイントし直すジョンスク。冷蔵庫を開けた姑は涙し、キッチンを見たイノはその場に立ち尽くす。ジョンスクがどれほど家族、家庭を大切に思ってきたかが伝わってきて泣けてくる。

ロイの執刀で肝臓移植が成功したジョンスク。イノとの離婚も裁判所で正式に成立し、ほんとうの意味での新しい一歩を踏み出すときがきた。まずは3年間のレジデント期間を無事修了し、専門医の資格をとるために精進する、と決めた。

一方のイノは、最年少で病院長に就任。同僚レジデントの息子は兵役で軍医に、高校生の娘は念願の美術大学への進学が決まった。スンヒは大学病院を辞め、亡き父親が設立した病院の経営者になる道を選んだ。そして、ロイは、ジョンスクに「チャ先生が好きです」と告白し、プロポーズをするが――

ドラマのラストは3年後、晴れて家庭医学専門医となったジョンスクの日常を描く。そこには、プロポーズをしたロイに「いま、私には平凡な日常が大切なんです」と答えたジョンスクらしい、あたたかい春の日差しのような毎日が広がっていた。

ジョンスクが何を始めたかのネタバレは避けるが、健康や心に不安を抱える一人ひとりに丁寧に対応する姿は生き生きとして、清々しい。体だけは大事に、と心配になるほどのフル稼働だ。

そんなジョンスクの夢に、イノや子ども、母も協力する。それは、それぞれが素の自分と向き合い、やるべきことを見つけ、いまの自分を愛せるようになったからに違いない。自分を愛す、って実はむずかしい。でも、とてもシアワセなことなんだと全力で教えてくれた新人“中年オバさん”医師のジョンスク先生に、心からのありがとう‼を伝えたい。

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