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キムラ緑子さんの思い出の音楽「人生の転機になった一曲です」

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ゆうゆう編集部

大学時代に演劇を始めた女優のキムラ緑子さん。学生演劇を楽しんでいた頃に出合い、「人生の転機になった」という思い出の一曲とは? 

PROFILE
キムラ緑子さん

きむら・みどりこ●1961年兵庫県出身。
84年「劇団M.O.P」の旗揚げに参加。
舞台・映画・ドラマ・ナレーションなど多方面で活躍中。
97年第32回紀伊國屋演劇賞 個人賞、2005年第12回読売演劇大賞 優秀女優賞を受賞。
今年8〜9月、札幌・東京・名古屋・福岡など各地で公演するリーディングドラマ『終わった人』で中井貴一とダブル主演。

キムラ緑子さん最新情報

中井貴一さんとの2人芝居
リーディングドラマ『終わった人』

原作は内館牧子のヒット小説。定年後の高齢者を題材に、キムラさんと中井貴一さんがすべての登場人物を演じ分ける。単なる朗読劇とは違う演出法が話題の「リーディングドラマ」。

共演/中井貴一
日程と会場/8月31日〜9月3日(東京・草月ホール)他に全国7カ所で公演あり
サンライズプロモーション東京☎0570-00-3337

青春時代の思い出の一曲であり人生の転機になった曲です

演劇を始めたのは京都の大学時代。「女優になりたい」と思ったわけではなく、遊び半分で学生演劇を楽しんでいました。

そんなある日です。先輩から「つかこうへいさんの舞台『蒲田行進曲』を観にいかない?」と誘われて。数人の友と京都から東京行きの夜行バスに乗りました。東京に着いたのは朝5時頃だったかな。それから会場である新宿の紀伊國屋ホールへ向かったけれど、すでにチケットは売り切れ。でも受付にいた人に「京都から来ました」と伝えたら、つかさんが「入れてやれ」と言ってくれて。1列目より前の、舞台がせり出した横にパイプ椅子を並べて私たちの席を作ってくれたんです。

そして始まった『蒲田行進曲』。大スターの銀ちゃん役は加藤健一さん。銀ちゃんの恋人である女優の小夏役は根岸季衣さん。銀ちゃんは出世のために、大部屋俳優のヤスに妊娠した小夏を押しつけるのですが……。その直前に「戻ってこい」と銀ちゃんが小夏にプロポーズするシーンがあって。小夏の薬指に指輪をはめた瞬間、パッと照明が変わって「青い瞳のステラ、1962年夏…」が大音量で流れました。柳ジョージさんのハスキーでセクシーな声に、心の中の何かがかきたてられた。何より芝居がすごかった! 迫力と繊細さが相まった芝居に「これがプロの演劇か」と圧倒されました。同時に「私は芝居が好きだ。私も本格的に演劇がやりたい」と思いましたね。それが今の自分につながっています。

『蒲田行進曲』は人生の転機となった舞台であり、「青い瞳のステラ」は私にとっての青春の一曲。今でもこの曲を聴くと、頭の中に『蒲田行進曲』が蘇ります。だからこそカラオケ店へ行っても自分では歌わず、同行した人に「『青い瞳のステラ』を歌って」とリクエスト。そしてグラス片手にこの曲を聴きながら、銀ちゃんが指輪をはめたあのシーンやそのときの根岸さんの表情を思い浮かべてひとり泣いています(笑)。

柳ジョージ&レイニーウッド 「青い瞳のステラ、1962年夏…」

R&Bをベースにしたブルース・ロックバンドとして人気を博した、柳ジョージ&レイニーウッドのアルバム『Woman and I...』(1980年)の一曲であり、同年に8thシングルとしてリリース。

※この記事は「ゆうゆう」2023年9月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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