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【万年筆】で手書き文字に〝味〟を加える。縦線は太く、横線は細く書ける優れものを紹介

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小日向 京

子どものころ、お気に入りの消しゴムやをえんぴつを、かわいい筆箱に入れて持っていたマチュア世代のみなさんも多いことでしょう。文字と文房具に並々ならぬ関心と愛情をもつ、文具ライターの小日向 京さんに、台湾生まれの味のある万年筆について語っていただきます。

今、若い世代の万年筆好きがじわじわと増えています。

これまで万年筆といえば「書斎・文豪・高級筆記具」というイメージを抱きがちで、「別にそこまでの筆記具は自分に必要としてはいない。インクが漏れそうだし、いつのまにかインクが蒸発してカラカラになってしまいそうだし」と思う人は周りに多くいました。

それが近年は、万年筆イベントでは真剣にペンやインクを選ぶ若者たちの姿があります。

手書きをする機会は明らかに減っているはずなのに、なぜ? と彼らに尋ねると、
「万年筆インクに興味を持ったことをきっかけに万年筆が好きになった」
という人もいれば、
「文章を書くのはテキスト入力ばかりなので、手書きが新鮮に感じる」
という人もいて、ほとんどの人たちに共通するのは、
「紙にペン先を走らせて流れ出るインクのみずみずしい感触を味わうと、心が整う気持ちになれる」
ということでした。これに私も深く同意します。

手書きが「珍しいこと」になって、その行為に「ちょっと特別なもの」という意識が高まるのは、合理性だけで生きているのではないという人間らしい反応と思えます。

しかしなおも「万年筆は敷居が高い」「自分の字が好きじゃない」という感情は人々によく抱かれるようで、そんな人々にぜひおすすめしたい万年筆・TWSBI(ツイスビー)のECO(エコ)スタブ1.1を今回の話題といたします。

TWSBIは台湾生まれの万年筆。冒頭写真がECOというモデルで、「線の字幅がスタブ1.1という、一般的な細字(F)や太字(B)などとは異なるペン先」となっています。

このスタブ1.1というのは「縦線は太く、横線は細い線が書けて、太い縦線の幅が1.1mmである」ものです。
太字(B)との線の比較を見てみましょう。

スタブ線とB(太字)線の違い

左がスタブ1.1、右が太字のBで書いた線と、そのペン先の形状です。

スタブ1.1では横線が細くなっているのがわかるでしょうか。一方、太字のBでは縦線も横線も同じ太さとなっています。

この線の太さの違いが、文字に斜め上から光を当てた時にできる影のような効果を生み出し、手書き文字にニュアンスを加えてくれます。

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