「御史(オサ)とジョイ」イオン(2PMのテギョン)たちの珍道中に心癒される。1~6話レビュー【韓国ドラマ】
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marumi
「御史(オサ)とジョイ」は2021年、韓国のtvNで放送されたテレビドラマ。悪事を暴く正義とトキメキの捜査劇です。NHK BS・NHK BSプレミアム4Kで昨年12月より、日曜よる9時から放送中。全16話の作品の1〜6話のレビューをお届けします。
※ネタバレにご注意ください
「暗行御史(アメンオサ)のお出ましだ~」—-2人の従者を従え、ハハーッとひれ伏す悪徳役人の前に進み出て、馬牌(マペ)という印籠のようなものを突き出す主人公。これはまさに韓国版の『水戸黄門』。画面越しに思わずニヤッとしてしまう。
『御史(オサ)とジョイ』の舞台は朝鮮時代。食べることも料理も好きな“お坊ちゃま”御史と、離婚したての気丈で健気なバツイチ女子がひょんなきっかけで知り合い、不可解な事件を捜査しながら、巨悪の陰謀を暴いていく、痛快ラブコメ時代劇だ。
主人公の暗行御史ラ・イオンを演じるのは、K-POPグループ2PMのテギョン。時代劇初挑戦というが、イケメンは何を着せてもよくお似合い、のお手本だ。眼福!
そもそも“暗行御史”とは、地方役人の不正を取り締まる王直属の隠密捜査官。イオンは科挙に主席で合格するほど優秀な官僚だが、まさかの想定外で暗行御史に任命されてしまう。ならば仕事はほどほどに、地方の旨い店でも食べ歩こうと、長い付き合いの従者ユクチル(ミン・ジヌン)とクパル(パク・ガンソプ)を引き連れて、漢陽から忠清道へと旅立つ。
着いた先で出会ったのが、賭博で借金まみれの夫、嫁をこきつかう姑がいる嫁ぎ先と決別したくて、郡守に協議離婚を申し立て中のキム・ジョイ(キム・ヘユン)。「私にはジョイという名前がある」「今よりは幸せになりたい」「新しく出直したい」と必死に訴えるジョイに、イオンは「離婚を許可する」と告げ、夫の袖口を切った“蝶”を手渡す。“蝶”は離婚の証。女性の自由を表すモチーフとしてあちこちに登場するので、お見逃しなく。
「御史さまは私の人生を取り戻してくれた」と礼を言うジョイに、「お前の手で取り戻したのだ、勇気によって」と答えるイオン。ジョイの決して挫けることのない自立心は、兄のように慕った世子(王の息子/イ・ジュニョク)が亡くなってから人生の目標を見失っていたイオンの胸に、正義感の火を灯した。
そして、もともと正義感MAXのジョイも親友の不審な死をきっかけに、捜査に真摯に向き合い始めたイオンとともに事件解明に加わることになる。
6話までのストーリーでは、前任の暗行御史の死体が海から引き揚げられたことをきっかけに、イオンたちの捜査が深い闇の入り口へと迫っていく様子を描く。まず明らかになったのは、地方の役人たちが国に治めるべき税穀などを横領し、売りさばく組織を配下に持ち、私腹を肥やしていること。そして、その組織の背後には、得体の知れぬ黒幕がいるらしいこと。この先、暗行御史一行の行く手には、波乱が待ち受けていそうだ。
見どころは、イオンと従者コンビとのコミカルで軽妙なやりとり。勉強と料理は超一流だが、世事には初心な“若さま”イオンをときに雑におちょくったり、冷やかしたり……。深い信頼関係があるからこその男3人珍道中に、ほのぼの心癒される。
だが一方で、事件の深い闇に迫ろうとすると次々降りかかる危険にハラハラドキドキ。ふだんはお気楽モードで包丁トントンのイオンが、ひとたび真剣を手に取った途端に見せる凛々しくキレッキレの立ち回り。そのギャップに、思わず燃える。コミカルとシリアス、緩急自在なストーリー展開が飽きさせない。
思いがけない発見が、テギョンのコメディ俳優としての才能。大事に育てられてきたボンボンが、ジョイに顔をはたかれたり、突然接吻されたときに、目を見開いて驚く顔。溺れそうになって、必死に筏にしがみつくみっともない姿……。振り切った表情管理に、思いっきり笑って拍手を送りたい。イケメンだからこそ許されると思う。