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「涙の女王」キム・スヒョンの切ない表情に胸が痛む 急展開の7〜8話レビュー【韓国ドラマ】

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marumi

キム・スヒョンは人たらしだ。

もし夫婦の間に距離が生まれたら——。意地を張っていては歩み寄れない。でも、自分から折れるのはむずかしい。だから、相手の気持ちや反応を試してみたくなる。そんな夫婦のリアルがきめ細かく描かれて、思わず身につまされることが、沼落ちする人続出で高視聴率の理由なのだろう。脚本がすばらしい。

ヘインの離婚を知ったウンソンは、「度が過ぎる」強引さでヘインに言い寄り、クイーンズグループ経営の中枢に入り込む。ヒョヌは法務部長として、ヘインに「ユンと親しくするな」と忠告し、ウンソンの身辺調査を進めるが、ここからは圧倒的なスピード感で、財閥一家が崩壊への道を突き進んで行く。

モ・スリとウンソンが実の母子であることをヒョヌが突き止めたときには、時すでに遅し。クイーンズグループの株式は次々とウンソンの手に渡り、会長に毒をかがせて昏睡状態に陥らせたモ・スリは、法定後見人として会長の全権限を掌握していた。
無能な後継者を抱えた財閥家をターゲットに、不遇の母子が30年かけて着々と練り上げた乗っ取り計画はついに達成された。

ヘインが暮らす財閥家の豪華なライフスタイルは、ドラマ前半を支える重要なポイント。ファッション、食事、インテリア、イベント……。どれも見ごたえたっぷりで楽しめた。そこに時折、ヒョヌが生まれ育った龍頭里(ヨンドゥリ)での人間臭い田舎暮らしがはさみ込まれて、対比を際立たせていた。財閥ホン家の人々が、パク家のヒョヌやその家族を卑下する態度をとることを、クイーンズ社員は「恐怖のホン(紅)パク(白)戦」と揶揄していたくらいだ。

そんな気位の高さだけは誰にも負けない一族が、家長の愛人親子が起こしたクーデターで会社からも豪邸からもあっさり追い出されたのだから衝撃だ。財産も行く当てもなくなった彼らが身を寄せたのは、なんとヒョヌの実家。いよいよ財閥一家の“疎開生活”が始まる。

この展開は、『愛の不時着』を思い起こさせる。パラグライダーの事故で北朝鮮に不時着した韓国の財閥令嬢が、出会った将校と彼を取り巻く人情に厚い村人たちに助けられ、私が一番、と思って生きて来た自分を変えていく設定を彷彿とさせるからだ。

肩書も権力も財力も失った財閥パク家の人々は、龍頭里での暮らしで自分を変えることができるのか。クイーンズグループを手中に収めたウンソンに、ヒョヌは復讐劇を仕掛けることができるのか。それぞれのキャラが明確になった全員集合で、どんな化学反応が起きるのか、後半の展開が楽しみで仕方ない。

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