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「涙の女王」キム・スヒョンの天才、としか言いようのない表現力に、大号泣が待っている9〜10話レビュー【韓国ドラマ】

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marumi

すべてをさらけ出したあと、騒然とする会見場の片隅にいるヒョヌを見つけて、「これでよかったよね?」と確かめるように見つめるヘイン。その瞳は、ヒョヌを守り抜いた安堵を湛えているように映る。そして、ヒョヌも涙をこらえ、瞬き一つせずにヘインを見つめ返す。約40秒間、言葉もなく、目と目で心を通わせ合う2人の演技に胸が震える。

そして、10話エピローグ。「何もしないで」とヘインに突き放された夜、兄と深酒をしたヒョヌは、出会ったころにヘインから言われた「あなたが酔うとかわいくて、胸がときめく」という言葉を思い出していた。「僕はヘインを見ると胸がときめく。ヘインも酔っている僕にときめくかな?」「会えないと会いたいし、会っていても会えなくなりそうでたまらなく怖い」—— それは、余命短いヘインのそばにいてやりたい、その思いを受け容れてほしい、という切なる願いがあるからに違いない。

葉っぱ占いをしながら家路につくヒョヌ。ヘインの部屋の前にたどりついたとき、「好き」で葉っぱが1枚残った。「好き?」。思わず笑みがこぼれるヒョヌ。「でも、僕は違うのに……僕は愛してる」。その言葉をドア越しにヘインが聞いているとも知らず、ヒョヌが愛おしさを込めた優しい声で最後にポツリとつぶやく。「愛してるよ、ヘイン」……

たったこれだけのセリフなのに、ヒョヌの心にある幸せ、喜び、痛み、苦しみ、後悔といった感情の揺らぎが手に取るように伝わってくる。キム・スヒョンの天才、としか言いようのない表現力に涙腺は勝手に決壊。しばらく画面の前から動けない。そして、鬼リピした。名作の予感しかない。

そう、ヘインは「愛してるよ、ヘイン」を聞いたことで、ウンソンの脅しに屈せず、記者会見で真実を語り、ヒョヌを助ける覚悟が決まったのだ。エピローグが見事に活きている。

ウンソンとの戦いは始まったばかり。2人の切ない“愛”は、正真正銘の命懸けだ。奇跡でもいいからハッピーエンドへの道を歩むことを祈らずにはいられない。

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