「涙の女王」息することさえ忘れさせる キム・スヒョンの迫真の演技。もらい泣きするしかない13〜14話レビュー【韓国ドラマ】
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marumi
結婚生活の危機を迎えているふたりの間に、愛を取り戻す奇跡は起こるのか? 「涙の女王」は韓国tvNで2024年3月9日から放送されているドラマ。Netflixで土曜と日曜に配信中です。マチュアリストでは全16話のレビューをお届けします。13〜14話について紹介しましょう。
※ネタバレを含みます
★11〜12話はこちら★
「涙の女王」ウンソンの人格に憑依するキム・スヒョンの演技は鳥肌ものだった 11〜12話レビュー【韓国ドラマ】
見る前から覚悟はしていたけれど、ドラマを見てこんなに泣けるのものなのか……と自分に驚く13~14話。ついに離婚をとり消し、再スタートを切ることにしたペク・ヒョヌ(キム・スヒョン)とホン・ヘイン(キム・ジウォン)夫婦が、“記憶”をキーワードに、愛し、愛されることの素晴らしさや人生の意味を、息することさえ忘れさせる迫真の演技で問いかけてくる。
クイーンズグループ前会長である祖父の葬儀を終え、居候していたヒョヌ家からソウルに戻る準備を始めるヘイン家の人々。そんな最中、ヒョヌの携帯電話にドイツの病院からヘインの手術が可能だ、という朗報が届く。が、問題は手術前の記憶をすべて失うリスクがあることだった。
ヘインの頑なな性格を知る父は、リスクを知らせないままドイツへ行き、手術を受けさせてほしいとヒョヌに懇願する。
一方、手術ができると知ったヘインは、その後に待っているはずのヒョヌとの新しい生活に夢膨らませ、隠していた3つの秘密を教える、と言う。それは、音楽プレーヤーのMP3、バス停の君、たぬきのヨンスク。ヘインにとってはどれもが、ヒョヌを好きになった瞬間の、宝物のような“記憶”だった。
だが、そんな運命的な“記憶”もヘインは忘れてしまう……。その事実をヘインに隠しているヒョヌは、「ある日、目が覚めて僕を嫌いになったとしても、僕は君のそばにいる」とそっと抱き締め、すべてを受け止める覚悟を決める。
そんなある日、ヘインはヒョヌ姉たちから、ホウセンカで赤く染めた爪の色が初雪まで消えなければ初恋が叶うと教わる。見て見て!とヒョヌに手を差し出すヘイン。バリキャリだったヘインが、おまじないを素直に信じる日が来るとは……。お願いだから、手術を受けた後、赤い色が残っているうちにヒョヌの記憶のカケラを呼び覚まして、と祈らずにはいられない。
ソウルの小さな部屋で暮らし始めた2人はまさにリアル新婚カップル。日常の何気ない仕草がたまらなく初々しくて、見ているこちらが恥ずかしくなるほど。演じているお2人、もしかして付き合ってる!?と疑いたくなるくらい、上手い。
「いつも一緒にいて、何気ない日常を共にする。でも、永遠ではないので、その時は甘い記憶をガラスびんから出して、飴玉のようになめて、つらい日々を耐え抜く。だから今は、幸せな記憶を増やしていきたい」と言うヘイン。聞いたヒョヌの辛い心情は察するに余りある。
なにしろ、ドイツの病院に到着したら、ヒョヌはヘインに、記憶を失うリスクを突きつけなくてはならないのだから。案の定、リスクを知ったヘインは「手術して記憶を失うか、それとも死ぬか、どっちがマシか選べと?」と激しく動揺し、医師の診察をキャンセルする。
翌早朝、2人は新婚旅行で訪れたラベンダー畑を訪れる。「あの夜の匂いも月も風も覚えてる。人はその記憶を原動力にして生きてる。つまり記憶は私自身であり、人生そのものなの」と静かに訴えるヘイン。こんなに愛しているヒョヌさえも見知らぬ人になってしまうなら、私自身として死にたい、と手術を拒否する。ヘインにとっては、過去の“記憶”こそが自分のアイデンティティであり、かけがえのないものなのだ。