60歳以上の女性の4人に1人がなる【骨粗しょう症】自身も骨折経験がある女医がすすめる予防策
自覚症状がなく、骨折するまで気づかないことが多い骨粗しょう症。ゆうゆう世代が大腿骨や背骨を骨折すると要介護の原因にも。骨密度の検査で骨の健康状態を知り、効果的な対策を始めましょう。
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60歳以上の女性の4人に1人が骨粗しょう症になっているといわれる。自覚症状がないため、自分は大丈夫と思っている人も多く、転んで手首などを骨折し、初めて気がつくケースも多い。
「骨粗しょう症は骨密度が低下して骨がスカスカの状態になり、骨折しやすくなる病気です。加齢で骨は徐々に弱くなり、80歳以上では男女ともに約50%が骨粗しょう症になっています」と常喜医院院長の常喜眞理さん。
大腿骨や背骨を骨折すると要介護の原因にもなるので、骨の健康維持は大きな課題だ。
「骨は、骨を作る細胞(骨芽細胞)と骨を破壊する細胞(破骨細胞)の働きで、新陳代謝を繰り返しています。加齢によって骨を作るより骨を壊す割合が多くなると、骨量が低下します。女性は閉経により女性ホルモンのエストロゲンが減少するため、男性よりも骨量の低下が早く始まります」
エストロゲンには、骨の形成を促し破壊を抑える働きがあるため、閉経後は4~5年で骨量が10%程度低下してしまうという。
「遺伝や生活習慣、体型なども骨粗しょう症の原因になります。女性の場合、遺伝の影響は70%ほどといわれています。血縁関係のある近親者に骨粗しょう症の人がいれば注意が必要です」
生活習慣では喫煙や多量の飲酒、運動不足、栄養不足などが原因になる。体型ではやせすぎも肥満も注意が必要だ。
「体重による負荷は骨の代謝を促しますが、やせていると骨に負荷がかかりにくくなります。また内臓肥満は骨質の劣化に関わっていることがわかっています」
カルシウムやビタミンDの不足も骨粗しょう症を招く。
「骨にカルシウムを吸収し沈着させるためにはビタミンDが必要ですが、日本人の9割がビタミンD不足といわれます」
骨にはカルシウムだけでなく、コラーゲンも大切
常喜さんは50代後半~60歳くらいで、骨密度の検査を受けることをすすめる。
「骨密度の数値に問題がなくても安心できない場合があります。最近は骨密度だけでなく骨質が大事だということがわかってきました。この骨質を左右するのがコラーゲンです」
骨の構造は鉄筋コンクリート構造に例えられる。コンクリート部分がカルシウムで、鉄筋部分がコラーゲン。両者がしっかり保たれているのが健康な骨の状態だ。
「建物を支える鉄筋(コラーゲン)が劣化すると、コンクリート(カルシウム)がたっぷりあっても建物は崩壊します」
現状では骨質を測るのは難しく、骨密度を正確に測る検査で骨の健康度を把握する。
「かかとの骨に超音波を当てて測定する簡便な方法では十分とはいえません。正確に測るなら、腰椎、大腿骨近位部に2種類のエックス線を照射し、測定するDXA(デキサ)法がおすすめです」
検査は検査機器がある病院(整形外科など)で受けられる。
「骨密度が若年成年平均値の70%以下だと骨粗しょう症と診断され、治療の対象になります」