「朝メシは何を食べるのが1番いい?」77歳名医が語る朝食の新常識とは?【鎌田 實先生】
健康寿命&病気予防の9割は朝メシで決まる!? 77歳・鎌田 實先生の話題の新刊『鎌田式 最強のズボラ朝メシ!』(エクスナレッジ刊)から、先生が毎日実践し、50年かけて調べ上げた朝メシの極意お届けします。第1回は、名医が教える「なぜ朝メシ!?」
朝メシは健康のかなめ! 必ずとろう
みなさんは毎日きちんと朝メシを食べていますか? 起きてからすぐの時間帯はあわただしいので、最近は朝メシ抜きの生活をしている人も多いと聞きます。
英語で朝メシはブレックファスト(breakfast)、これは「断食を破る」という意味です。夕メシを食べて以降、何も食べていないのですから、朝起きたときはエネルギーが枯渇しています。
ごはんやパンなどの炭水化物は、脳のエネルギーであるブドウ糖に換わりますが、朝メシを食べないと、脳がエネルギー不足になってしまいます。
会社員が朝メシを抜くと、午前中の仕事のパフォーマンスが著しく低下するといわれますが、エネルギーが不足して脳が働かないのですから当然なのです。
ですから午前中からバリバリ仕事をするためにも、朝メシはとても重要です。炭水化物だけでなく、筋肉などの材料であるたんぱく質、体の機能を整えるビタミンやミネラル、おなかの調子をよくする食物繊維など、栄養バランスのよい朝メシは、まさに健康のかなめです。
朝メシには何を食べるのが1番いいの?
食べ物の栄養素には、昼や夜よりも、朝食べたほうがより体内に吸収されるものがあります。
例えば、トマトに含まれるリコピンという成分も朝とるほうがよく吸収されます。リコピンには動脈硬化の原因になる血管の酸化を防ぐ作用(抗酸化作用)がありますが、朝とったほうがその効果も大いに期待できるというわけです。
トマトジュースのメーカーの研究によると、健康な成人男女にトマトジュースを朝・昼・夜と飲んでもらい、その後、血液中のリコピン濃度の測定を行ったところ、朝飲んだときの血中濃度が一番高くなることがわかりました。
また脳や血管の若返りによいといわれる魚油(DHAやEPAを含む)も、朝のほうが吸収率が高いことがわかっています。
魚油は脂質代謝を高めて体脂肪の蓄積を抑える働きがあります。朝、魚油をとると血中の中性脂肪が低下し、脂質の合成に関わる遺伝子の働きが抑制されることが農研機構などの研究によって明らかにされています。
山梨県ではまぐろをよく食べるといわれています。もちろん夕メシにもまぐろを食べているのですが、山梨県民は前の日に残ったまぐろの刺身をヅケにして朝食べる習慣があるというのです。
まぐろなどのさかなを朝食べるのは大賛成です。1人暮らしでも比較的簡単にとれるのは朝のさかな缶(さばやいわし)でしょうか。さかな缶の簡単な食べ方は第2章でご紹介します。
朝オイルサーディン(いわしの油漬け)もよいですね。朝まぐろにしたいなら、ツナ缶(まぐろやかつおの油漬け、または水煮)でも大丈夫。ツナ缶と野菜サラダをドレッシングであえて食べるのもおすすめです。
