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要注意!それまで大好きだったことに急に興味がもてなくなったら…【うつ状態&うつ病】

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ゆうゆう編集部

何だか毎日が楽しくなくて人と会うのも面倒、気分が落ち込む……。50代以降となれば、そんな「うつ状態」に陥ることは誰でもありうる。とはいえ、日常生活に支障が出ている場合は「うつ病」を疑って受診を。

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ホルモン分泌量の変動や脳の変化などで気分が落ち込む

以前は面白いと思っていたテレビ番組が面白く感じられない、友達に誘われても出かけるのがおっくう、かといって家にひとりでいると寂しいし気分がどんより落ち込む……。

「更年期以降、いろいろなことが楽しめず、うつうつとした状態になってしまう人は少なくありません」と、常喜医院院長の常喜眞理さん。そんなうつ状態に陥る原因には、各種ホルモンの分泌量の減少やバランスの崩れ、加齢による脳の変化などが考えられるという。

「性ホルモンは心の若さと元気のもと。この分泌量が減少すると、気分が高揚しにくく、楽しさを感じにくくなりがちです。これは女性だけでなく男性も同じ。また、疲労を回復してくれる成長ホルモンの分泌量が減少すると、体が疲れやすくなり、心の活力が奪われてしまうこともあります」

加齢により脳の視床下部の働きが低下すると、外からの刺激に素早く反応できなくなるという。みんなが笑っているのに何が面白いのかわからないとか、みんなが言うほど感動できなかったなど、感じる力が鈍くなってしまうのだ。

これまでの人間関係や環境が変わることも、うつ状態につながる。子どもが独立し母親としての自分の役割が終わったと感じたとき、親の介護が終わったり、定年退職で職場から離れた後など、喪失感でうつ状態になる人がいる。

「誰にでも起こりうることなので、悲観的にならないでくださいね。とはいえ、放置していい、というわけではありません」

落ち込んだ状態で毎日を過ごすことは、健康状態にも影響する。

「おどすわけではありませんが、孤独がいちばん死につながりやすいといわれています。うつ状態から抜け出すには、社会と関わり人とのつながりをもつことが大切です。カルチャースクールでもボランティアでも、地域の活動でも、新しいコミュニティを見つけて入っていきましょう」

悩みを誰かに話すこと、楽しみを見つけることが大事

人間関係や身近な人の死など、さまざまなストレスもうつ状態の原因となる。
「ストレスを避けることは大事ですが、避けられないストレスもあります。親や配偶者など身近な人の死、病気や体の痛み、災害……。そんなときも、ひとりで抱え込まないでください。誰かに相談することで心が軽くなることがあります。そのためにも新しいコミュニティと関わり、気楽に話ができる人を見つけましょう。心の悩みは、親しい人には話しづらいけれど、逆にちょっとした知り合いになら話せるという場合もあると思います」

日々の生活の中で小さな幸せを見いだしたり、楽しいこと、笑えることを積極的に見つけたりするのも、うつ状態から抜け出すきっかけになる。

「落語や楽しい舞台など、笑える場所に出かけていくのもいいと思います。面白いと思える何かを、ひとつでも見つけられるといいですね」

専門医に「うつ病」と診断されたら治療が必要

うつ状態からうつ病になることもあるのだろうか。

「うつ状態とうつ病は基本的には別のものです。うつうつした気分でも普通に日常生活が送れているなら、うつ病ではないと思います。うつ病はメジャーな精神疾患のひとつで、精神科の専門医の診断が必要です」

個人差はあるが、うつ病の代表的な症状には以下のようなものがある。
・眠れない、眠りが浅い
・憂うつな気分に支配され、わけもなく悲しい、何の希望ももてない
・興味や喜びの感情がない、何をしても楽しくない、何かをしたい気持ちもない
・食欲がない
・性的な関心や欲求が低下する
・人と会うのがうっとうしく、外との接触を断つ

「眠れない、食べられない、楽しめないという状態が続き、日常生活に支障をきたす場合は、できるだけ早く精神科や心療内科、メンタルクリニックなど専門の医療機関を受診しましょう」

どこで受診したらいいかわからない場合は、医療機関のホームページを参考にしたい。

「医師の顔写真やプロフィール、コメントなどを見て、自分と相性がよさそうなところを探してみては。初診には1時間くらいかかるため、一日の患者さんの数を制限している医療機関もあります。予約が取りづらいことがあるので、医師が複数いる医療機関がおすすめです。うつ病と診断されたら医師の指導にもとづき、治療をします」

治療は薬物療法、認知行動療法、カウンセリングなどが柱となる。

「うつ状態の場合は積極的に動いていくことが大事です。うつ病の場合は、まずは何もしないで過ごす、休養が大切です。治療は年単位で続きますから、家族などの協力を得ながら、あせらずに過ごしましょう」

【ドクターから一言】
誰にでも起こりうる「うつ状態」。「なぜ私が」と悲観的にならずに積極的に人との関わりをもちましょう。

取材・文/田﨑佳子

※この記事は「ゆうゆう」2025年5月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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監修者

常喜医院 院長

常喜眞理

じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。

じょうき・まり●1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医。内科学会認定医。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。

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