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【ガーデニング】クレマチスの品種・育て方。フェンスや壁を立体的に飾ろう![多年草]

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光武俊子

多年草で人気のクレマチスをご存知ですか? バラと華やかに組み合わせたり、フェンスやアーチであふれんばかりに咲かせたり……。つる植物の性質を生かして立体的で視線を引きつける花飾りができます。丈夫で毎年咲いてくれるクレマチスを育ててみましょう。

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クレマチスはどんな花?

テッセンやカザグルマと呼ばれることもありますが、テッセンは中国に分布するクレマチスの原種で、カザグルマは日本の原種です。古くから親しまれてきた原種から、バラエティに富んだ園芸品種が誕生。さまざまな花色や花形から、お気に入りを見つけましょう!

クレマチスは原種だけで世界に300種類。そのうち中国に100種、日本にもカザグルマのほかハンショウヅルやセンニンソウなどがあります。これらはとても丈夫、中国の原種にテッセン(鉄線)とあるように、折れても(テープで補強すれば)枯れないほど丈夫なつるを伸ばして花を咲かせます。

ほとんどがつる性なので、支柱を添えた苗が販売されています。1株1000円くらいからと、一般的な花苗よりも少しお高めですが、暑さ寒さに比較的強く、根をよく張らせると何本もつるが伸びて毎年咲いてくれます。

購入前に覚えておきたいクレマチスの系統

クレマチスは去年伸びたつるに咲く旧枝咲きと、今年伸びるつるに咲く新枝咲きという2タイプがあります。旧枝咲きのつるを冬に刈り込んでしまうと、来年花が咲きません。ベランダなどで株をコンパクトに楽しみたいなら、冬に地際まで刈り込める新枝咲きか新旧枝咲きの系統を選びましょう。

開花時期も4~6月だけでなく、秋や冬に咲くシルホサ系や早春に咲くアーマンディ系などもあり、これらは秋ごろに苗が出回ります。花形もさまざまに特徴があるので、人気の系統などを紹介します。

*新旧の枝咲きタイプや品種の系統は、花のラベルにたいがい明記されていますが、買いたい品種名を図鑑やカタログ、ネットで調べてもすぐにわかります。

人気の花形などで選びたい系統

華やかに咲き誇る【大輪系】

花径10㎝以上のふくよかな花を咲かせる大輪系。4~5月に咲く早咲き種は旧枝咲きですが、花後につるを切り戻すと新たに伸びるつるに秋まで開花。6月ごろに開花の遅咲き種は新枝咲きで、つるがよく伸びて多花性の品種が多く、高い場所を飾るのに向きます。

チューリップみたいな【テキセンシス系】

チューリップを思わせる愛らしい花形で、代表的な品種「プリンセス・ダイアナ」が人気です。今年伸びるつるに6月ごろから咲き出し、初秋にも返り咲きます。花弁が厚めなので雨にも比較的強く、冬は地上部が枯れて刈り込めます。

長く花が楽しめる八重咲きの【フロリダ系】

しべが花弁化したゴージャスな八重咲きは、外側の花弁が落ちた後も中心部が美しいまま長く楽しめます。ただし、前年伸びたつるに開花したあと、早めに剪定すると年2~3回も花が楽しめる四季咲き性のある新旧枝咲きタイプです。切るタイミングに悩みますね~。

丈夫で花つきよく初心者向きの【ヴィチセラ系】

4~6枚の花弁をパッチリ開いたり、ベル状に吊り下げる花はやや小ぶりですが、花つきよい多花性です。今年伸びるつるに開花して、花後に剪定することで秋まで咲きます。冬には株元から数節までの強剪定ができるので、庭が片づきます。丈夫なので初心者でも安心!

四季咲き性が強い【インテグリフォリア系】

これも花形はさまざまで、つるではなく自立する木立性の種類もあります。なかで小さなベル型の花を咲かせる‘篭口(ろうぐち)’などが人気。今年伸びるつるに咲き、冬は刈り込める新枝咲きです。鉢植えで身近に飾ったり、切り花でも楽しめます。

ベールのように群れ咲く夏咲きの【原種】

夏空のもとで、よく伸びるつるに白い小花を群れ咲かせる原種、センニンソウ(仙人草)。日本の野山に自生するクレマチスなので、育てやすく丈夫です。生育のよさを生かすなら、大きめのアーチなどが向きます。ただ、茎の切り口から出る白い液体でかぶれることも。

冬の庭をかわいらしく彩る【原種】

これまで紹介したクレマチスと異なり、夏は休眠して秋に芽吹き、冬に咲く原種シルホサ。花の少ない時期にかわいらしい花を吊り下げるように咲いて、視線を集めます。地中海沿岸などが自生地で寒さにはやや弱いため、北海道などでは屋内で冬越しさせましょう。

支柱を立てて深めに植えつけを!

クレマチスは丈夫で育てやすい多年草寒冷地の厳寒期をのぞけば、いつでも植えつけできます。鉢でも庭でも育てられますが、根がよく伸びることで花つきもよくなるので、小さい鉢植えはおすすめできません。

つるをよく伸ばして花を咲かせるので、支柱を立ててつるを誘引するか、フェンスなどのそばに植えるとよいでしょう。生育期にはつるが毎日どんどん伸びるため、望まない方向へ巻きついたら、巻きついた部分を切り離して誘引し直します。

クレマチスは土に1節を埋めて植えつけると、節からもつるが出てきます。つるの数がふえるので深植えがおすすめです。植えつけたらたっぷり水やりしましょう。その後、鉢植えは表土が乾いたら常に鉢底から水が流れ出るまで水やりします。

花後は花がらを摘むことで、次の花が咲きやすくなりますが、おじいさんのひげのような花がらもまたおもしろいものです。クレマチスのさまざまな魅力を味わってください。

※2023年4月19日に配信した記事を再編集しています。

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返り咲きとは、通常の花期を過ぎた後、再び花を咲かせる現象で、おもに気温の変動や剪定のタイミング、肥料や水分条件が影響します。バラやアジサイなどで見られ、特に温暖な秋に発生しやすく、長く花を楽しめる反面、植物にとってはエネルギーの消耗が大きいため、年に一度の開花に比べて樹勢が弱ることもあり、管理には注意が必要です。

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植えつけとは、苗や苗木、球根などを土に植える作業のことを指します。適切な時期や深さを守ることで植物の発芽や発根が促され、順調な生育につながります。植物ごとに適した用土が望ましく、植えたあとはしっかり水やりをして根づかせることが大切です。植物の種類によって用土の種類や肥料の施し方が異なるため、事前に育て方を確認しておくと安心です。

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四季咲き性とは、特定の開花期をもたず、条件が整えば一年に複数回花を咲かせる性質を指します。​バラやベゴニアなどにこの性質をもつ品種があり、長期間花を楽しむことができます。

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八重咲きとは、花びらがたくさん重なって咲く花のことです。通常の花よりも華やかでボリュームがあり、豪華な印象を与えます。バラ、ダリアなど、多くの植物に八重咲きの品種があります。

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強剪定とは、樹木や低木の枝を思いきって深く切り戻す剪定方法で、古い枝を更新したり、全体の樹形を整えたりする際に用いられます。特にバラやアジサイ、フジなどの植物で、翌年の花つきや樹勢を高めるために欠かせない作業です。強く切ることで一時的には枝数が減りますが、新しい芽の発生を促し、植物の若返りやコンパクトな仕立てに効果を発揮します。

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寒冷地とは、平均気温が低く、冬季に雪や霜が多く降る地域を指し、園芸においては栽培可能な植物が限られる環境です。北海道や本州内陸部などが該当し、霜害や冬越しの難しさが課題になります。寒冷地では耐寒性の高い宿根草や球根植物が重宝され、逆に熱帯性植物は室内での越冬が必要です。栽培カレンダーも地域ごとに調整が必要で、気候に合った植物選びがガーデニング成功の鍵となります。

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多年草とは、開花、結実後も枯れずに生長する植物のことを指します。一度植えると数年にわたり生育し、毎年花を咲かせます。

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冬越しとは、寒さに弱い植物を冬の寒さや霜から守って生き延びさせるための管理方法です。屋外に置いている鉢植えを室内に取り込んだり、花壇の土の表面にワラや落ち葉などを敷き詰めたりします。

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誘引とは、植物の枝やつるを支柱やフェンスに沿って結びつけ、形を整えたり、日当たりをよくしたりする作業です。生長に合わせて、ひもなどでやさしく固定します。見た目を美しくするだけでなく、花つきや収穫量にも影響します。

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表土とは、ガーデニングや農作業において地表のごく浅い部分を指し、植物の生育に重要な土壌層です。この部分は通常、有機物や微生物が豊富で、植物が栄養を吸収しやすい環境を提供します。また、水分を保持しつつ排水性も高いため、根の生長を促進します。特にガーデニングでは、健康な表土を保つことが美しい花や元気な野菜を育てる鍵となります。草花を植える際には、表土の改良や適切な肥料の使用が推奨されます。

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花弁とは、一般に「花びら」と呼ばれる部分で、花の中でも最も視覚的に目立つ構造です。昆虫を引き寄せるための鮮やかな色や形、香りを備えており、園芸植物ではこの花弁の特徴が観賞価値に直結します。八重咲きや一重咲きの違いも花弁の枚数に関係しており、育種や品種改良ではこの部分の改良が重点的に行われます。雨や暑さで傷みやすいため、花弁の丈夫さもガーデナーには重要なポイントです。

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株元とは、植物の茎が地面と接するあたり、根元の部分を指す言葉で、水やりやマルチング、病害虫の発生チェックなど園芸作業の上で注目すべき場所です。特に多年草や樹木では、株元の通気性や湿度が健康維持に大きく関係し、落ち葉や腐葉土のたまり過ぎによって蒸れたり、カビが発生するリスクもあるため注意が必要です。冬越しや剪定後の管理でもポイントになる場所です。

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支柱とは、植物が倒れたり茎が曲がったりするのを防ぐために立てる棒状の補助具。特に生長とともに高さが出る植物や、実が重くなる果菜類、つる性植物などに欠かせない資材です。ガーデニングでは、支柱の材質や形状によって景観にも影響を与えるため、景観に馴染む自然素材のものや色つきのものを選ぶことで、植物の生長を支えつつ庭の美しさとの両立を図ることができます。

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品種とは、ある植物の中で、花の色や形、実の大きさなどの性質が、明らかに他の植物と異なる栽培植物のことです。園芸品種や栽培品種の略称です。

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原種とは、交配などで改良された植物の親や祖先にあたる種のことです。人間の手による品種改良や交配が行われていない、自然のままの状態で存在する野生種のことを指します。

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剪定とは、植物の不要な枝を切り取る作業のことです。形を整えたり、風通しをよくしたり、枝分かれを促したりする目的で行われます。剪定を行う目的に合った正しい時期に行うことが大事です。

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休眠とは、植物が生長を一時的に停止して、寒さや乾燥などの不利な環境から身を守る生理状態のことを指します。球根や落葉樹などでは、冬の寒さに備えて活動を停止し、気温が上がると再び芽吹きます。休眠中の植物は水や肥料をそれほど必要としないため、過湿や過剰施肥を避けて管理することが大切です。休眠の有無や期間を知ることは、植え替えや剪定の適期を見極めるうえでも重要です。

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