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【要約小説】名作のあらすじを読もう!

浜尾四郎の『途上の犯人 』あらすじ紹介。不気味な再会と衝撃の告白の深意とは?

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ゆうゆうtime編集部

『途上の犯人』は浜尾四郎が描く、列車内での緊迫した対話が織り成す不思議な物語です。不愉快な偶然の再会から始まり、思いも寄らぬ告白へ。読者をその結末まで引き込む力強い筆致をご紹介します。

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列車内での「不気味な男」との再会

物語は、主人公が東京駅発の列車に乗り込んだところから始まります。主人公は、どこかで見覚えのある男に視線を向けられ続け、その不快感に戸惑います。やがて思い出したのは、数日前の市電で、彼と奇妙な視線を交わした記憶。その時点で話はただの偶然の出会いでは終わらず、列車内で2人が言葉を交わすことで、一層不気味な展開を見せます。

「探偵小説」は罪なのか?

列車が進む中で、その男、相川俊夫と名乗る人物は、突然、元検事であり探偵小説家である主人公に話しかけます。「探偵小説を愛読する」と持ち上げつつ、探偵小説が社会に悪影響を及ぼすという批判にもつながる議論を始めます、彼の論理的問いかけが鋭く迫ります。「殺人方法を教えているのではないか?」という問いは、現代的な倫理観と創作の自由の間に大きな緊張感を生み出します。

告白、そして罪の対峙

やがて、男は自らの罪を赤裸々に語り始めます。愛憎が絡む家族関係、そして幼い娘を「自らの手」で肺炎に追い込み死に至らしめたという衝撃の告白。さらに、それが主人公の小説に触発されての行動であると告げられます。この一方的な責任転嫁に主人公は戦慄するものの、同時に「小説家としての立場」に対する問いかけに内心動揺を隠せません。

真実は更なる闇へ、予想外の結末へ

物語は一転して、列車が目的地に到着した場面を迎えます。話しかけてきた男はは元々妙だと思われていただけでなく、警察に目をつけられ、改札口で逮捕される事態に発展。そこで初めてわかったのは、「彼が自らの娘を殺した犯人である」との疑惑に加えて、妻もまた不審死を遂げていたこと。そして主人公が「その男」と共有した恐ろしい時間が、果たして現実だったのか、それとも妄想ともつかない一種の心理的罠であったのか。作品は真実の多面性を問いかけるまま、読者を余韻に残して終わります。

まとめ

浜尾四郎の『途上の犯人』は、推理小説というジャンルを超え、その枠組みそのものを揺るがすような倫理的・心理的テーマを抱えた小説です。「小説が人間にどのような影響を及ぼすのか」という根本的な問題を読者に突きつけながら、同時に登場人物たちの内面に深く踏み込み、その暗部に向き合わせる。この作品を読むことは、ただの謎解きではなく、人間の持つ複雑な内面と倫理観という難問に直面することでもあります。探偵小説好きな方も、そうでない方も一読の価値ありの一作です。

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※本記事の一部には自動生成による文章を含みますが、内容は編集者が確認・監修のうえで掲載しています。正確性には十分配慮していますが、最終的なご判断は公式情報等をご確認ください。

途上の犯人

浜尾四郎(著)
青空文庫(刊)
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