【要約小説】名作のあらすじを読もう!
室生犀星の『蛾』あらすじ紹介。49日後に帰ってきた夫。不気味な世界観の先にある真実とは!?
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ゆうゆうtime編集部
幽玄な幻想世界を描き出す室生犀星(むろうさいせい)の名作『蛾』。「四十九日目」に帰ってきた武三郎が巻き込まれる、不思議で切なくも恐ろしい物語。その真相とは一体?ぜひ読み進めてみてください!
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物語は、川師である堀武三郎が留守にして49日後、自宅に突如戻るところから始まります。その姿は髪が濡れ、魂の抜けたような様子でした。彼の妻である「あおい」は、夫が失踪して死んだと思って法要まで済ませていましたが、驚きと疑念を抱きます。さらに彼女は彼の道具の中に一風変わった女の櫛を発見。それは、普通の装飾品ではなく水苔のような湿り気と不気味な存在感を漂わせていました。この櫛が何を暗示するのか、読者の興味を引きつける不気味な始まりです。
謎の女の訪問と武三郎の異変
ある夜、一人の美しい町家の妻が現れ、「大切なものを探しにきた」と言い残して去ります。その後も彼女は、朝方になると裏庭に姿を現します。この奇妙な日課に深く関わるうちに、武三郎の言動はますます異常になります。彼は夜に野犬のように吠え、昼には無気力に庭をさ迷い、手を指折りながら数を数える奇行を繰り返すばかり。おあいは彼の様子と彼女の関係に不信感を募らせますが、その真相にはたどり着けません。物語は謎めいた不安と焦燥を深めていきます。
失踪と対峙する真実
最終的に、武三郎はおあいの目の前から再び姿を消します。彼を追うおあいは、彼の最後の手がかりとして謎の女を疑い、「大桑の淵」という場所へ向かいます。その淵では、彼女が発見したのは謎の女のものと思われる日傘や、自身の予感を裏付けるようなものが…。ただし、それはぼんやりとした映像でしかなく、直接的な答えを読者には提供しません。さらに追い詰められたおあいは、恐ろしいほどの錯覚や目まいに襲われ、最後には崖の淵へと引き寄せられていきます。このまるで淵全体が息をしているかのような描写は、室生犀星の文学的魔術の頂点にも達しています。
まとめ
『蛾』は、幻想文学の巨匠・室生犀星が描いた怪異と人間模様を交錯させた一編の傑作です。幽玄な視点で描かれる自然と人間の関係性、死と生の境界を旅するかのような物語展開が読者を虜にします。一方で、「謎の女性」「櫛」という具体的な象徴が登場することで、物語全体に現実感と奥深さを与えています。物語を通じて、幻想的でありながらも、愛や憎しみ、嫉妬、そして執着といった普遍的な感情がじっとりと浮き彫りになります。重厚感あふれる魅力は、一度読み始めたら止まらない引力があります。心に迫るこの物語、その深みを味わってみてください。
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