【要約小説】名作のあらすじを読もう!
牧野信一の『夜見の巻』あらすじ紹介。恐怖と興奮が入り交じる馬と人間の奇妙な友情
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ゆうゆうtime編集部
牧野信一の『夜見の巻』は、『吾が昆虫採集記』の一節です。蜂の調査に耽る主人公と老馬ゼーロンを中心に展開される奇妙で滑稽、しかしどこか哲学的な物語です。不条理な日常に潜む美しさ、そして人馬のドラマを味わいましょう。
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物語は田舎の鬼涙村(さなだむら)で、膜翅類(まくしるい、ハチ目とも)の観察に没頭する主人公の描写から始まります。彼は無愛想な性格で、周囲とも少し距離を置いていますが、老馬ゼーロンには特別な愛着を寄せていました。しかし現実のゼーロンは慣れない上に気難しい性質で、臆病で頑な。主人公との接触には困難が伴いました。この奇妙な愛馬との関係性が、この物語全体に深い影響を与えます。
蜂の巣観察と村人たちの騒動
ある日、主人公は村人に勧められるままゼーロンを借り、蜂の巣の観察に出かけます。しかしゼーロンは途中で突拍子もなく暴れ出し、馬を操る主人公の未熟さも相まって、周囲の注目を浴びます。村人たちは馬の暴走に大喜びし、嘲笑混じりで騒がしくも愉快な騒動を繰り広げます。この章では、馬と人間の間に生まれるちぐはぐなドラマが鮮やかに描かれ、現実の不条理な一面をユーモラスに表現しているのが特徴です。
ゼーロンの狂奔と不思議な友情の始まり
クライマックスでは、蜂に刺されて激昂したゼーロンが狂い、主人公を背中に乗せたまま猛然と突進します。この姿はまるで神話のペガサスのような美しさを帯びています。恐怖と興奮が入り交じる緊張の中で、馬と主人公との関係性が微妙に変化します。最終的にゼーロンは疲れ果て、村に到着しますが、その道中で二者は妙な絆を深めていくようです。
和解と心の交流、馬と星空の風景
物語の終盤、主人公はゼーロンに対して以前とは異なる思いを抱くようになります。彼は厩舎にこもりがちなゼーロンを訪ね、微妙に変わった馬と人間の間に温かい交流が生まれます。この場面では、ゼーロンが突然柔和な表情を見せたり、共に夜空を見上げるシーンが描かれ、哲学的な美意識と感動が宿ります。ゼーロンは単なる「老馬」ではなく、主人公にとって特別な存在であり、この奇妙な友情は新たな道を示唆するものでした。
まとめ
『夜見の巻』は、牧野信一ならではの繊細な描写と哲学的な視点が際立つ短編小説です。不条理な出来事やユーモラスな展開の背後には、人間の感情や孤独が織り成す深いドラマが秘められています。主人公と老馬ゼーロンの関係性は、荒唐無稽に見えながらも心に残る美しい物語を紡ぎます。笑いと感動の狭間で、不思議な温かみを体験できるこの作品、ぜひ手に取ってじっくり味わってください。
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夜見の巻 「吾が昆虫採集記」の一節
牧野信一(著)
青空文庫(刊)
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