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「犯人は話術のプロ」60代女性を狙う詐欺の最新手口と防犯アドバイザーが教える撃退法

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ゆうゆう編集部

近年、私たちの暮らしを狙った犯罪は、より巧妙に、そして凶暴になっています。特に、日中の在宅率が高い60代以上の女性は、犯罪者にとって「狙いやすい」存在になっていると、防犯アドバイザーの京師美佳さんは警鐘を鳴らします。しかし、いたずらに怖がる必要はありません。正しい知識と少しの心構えで、私たちの平和な日常は守れます。今回は京師さんに、今日からすぐに実践できる防犯対策について、私たちの暮らしの場面に沿ってお話を伺いました。

京師美佳さん
防犯アドバイザー、犯罪予知アナリスト

きょうし・みか●防犯設備士、錠前認定資格をもつ。セキュリティ企業、防犯ガラスメーカーを経て2005年に独立、09年に一般社団法人全国住宅等防犯設備技術適正評価監視機構理事に就任。生活者の視点での防犯対策が各メディアで人気。

知らない電話は「折り返します」で撃退する勇気

家の電話が鳴り、受話器を取ると、思いもよらない相手からの電話。
「警視庁の〇〇と申します。あなたの口座が犯罪に利用されている疑いがあります」
テレビドラマのような展開に、心臓がどきりとするのではないでしょうか。しかも、ご丁寧に表示された電話番号は地元警察書の番号のよう。信じてしまうのも無理はありません。しかし、これこそが、今最も多発している詐欺の手口なのだと京師さんは言います。
「以前は『+1』など国際電話を示す番号が表示されたので怪しいと分かりましたが、今はIP電話の技術を悪用し、本物の警察署の番号を表示させることができるのです。番号だけでは見極められません」

犯人たちは、言葉巧みに不安を煽り、「逮捕状が出ている」「保釈金を払えば取り下げられる」などと畳みかけ、冷静な判断力を奪っていきます。LINEのテレビ電話に誘導し、偽の警察手帳や逮捕状を見せてくるケースもあるそうです。

では、どうすればこの巧妙な罠から身を守れるのでしょうか。京師さんの答えは、驚くほどシンプルです。
「相手が警察でも、区役所でも、誰を名乗ろうと、まず『折り返しますので、お名前と電話番号をお願いします』と言って、すぐに電話を切ることです。これを徹底すればよいのです」

大切なのは、相手に言われた番号にかけ直すのではなく、自分で104やインターネットで調べた正式な番号に電話をかけること。「先ほど〇〇さんという方からお電話をいただいたのですが…」と確認すれば、「そのような電話はしておりません。それは詐欺です」と教えてくれるはずです。
「犯人は話術のプロ。内容を聞いて自分で判断しようとすると、巧みな話術に巻き込まれてしまいます。話を聞く前に切る。この“反射的な行動”を身につけることが、何よりの防御策になります」と京師さんは語ります。

突然の訪問者は「インターホン越し」が鉄則です

「近くで工事をしておりまして、ご迷惑をおかけしています。今なら無料で屋根を点検しますよ」
親切そうな笑顔で語りかける訪問者。家の古さが気になっていたタイミングだと、つい話を聞いてみたくなるかもしれません。しかし、これもまた危険なサインです。こうした無料点検商法は、高額なリフォーム契約を結ばせる悪徳商法であるだけでなく、強盗の下見である可能性が非常に高いと京師さんは指摘します。
「実際に強盗事件が起きたお宅の周辺では、数日前にリフォーム業者が来て『いつ頃ご在宅ですか?』などと探りを入れていたケースが後を絶ちません。会社名を尋ねても名刺を渡せないような業者は、下見の可能性を疑うべきです」

インターホンが鳴ったら、必ず出て対応することが大切です。居留守を使うと「この家は留守だ」と判断され、空き巣に入られる危険があるからです。しかし、玄関のドアを開ける必要は一切ありません。
「インターホン越しに『結構です』とはっきり断りましょう。『無料』『タダ』という言葉ほど怖いものはありません。水道局や消防署を名乗る点検の場合も同じです。本当に必要な点検なら、事前にチラシや回覧板でお知らせがあるはず。突然の訪問は、まず疑ってください」

もし不安な場合は、電話と同様に「担当部署に確認します」と伝え、自分で調べた水道局や消防署の番号に電話して、本当にそうした訪問の予定があるのかを確認しましょう。本物の業者であれば、身分証の提示を求めれば応じますし、確認の電話を待ってくれるはずです。

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