家具は20年、30年と使い続ける【料理研究家・牛尾理恵さん】持ちすぎない暮らしとは?
自分らしい“持たない暮らし”を楽しんでいる方の実例を紹介します。話題の新刊『捨てて、やめてラクになる 私らしい「持たない暮らし」』から抜粋してお届けするのは、料理研究家の牛尾 理恵さん。抱えすぎない。詰め込みすぎない。暮らしを複雑にせず、心地よさを追求しています。
PROFILE
牛尾理恵さん(料理研究家)
病院の食事指導を行う栄養士、料理家の助手を経て、現在は料理研究家、栄養士、フードコーディネーターとして幅広く活躍。筋トレで体質改善に成功した経験から、健康的でおいしいレシピを考案。『毎日、朝ラク10分弁当』(主婦の友社)など著書多数。
Instagram:@rieushio
「持たない」ことではなく、心が満たされるかどうかを重視しています
ものを厳選して持つのは、幼い頃からの変わらない習慣
リビングにある吊り戸棚はほぼ空っぽ。ワークスペースにある本棚には、これまで手がけたレシピ本や掲載誌が並ぶのみ。好みがずっと変わらないから、家具は20年、30年と使い続けています。それでも牛尾さんは、自身のことを「ミニマリストだと思ったことはない」と話します。
「幼少期から、多くのものを持たずに過ごしてきました。整理整頓や掃除も好きで、親からは『あなたはなんでも捨てすぎる』と言われたくらいです。暮らしを心地よく整えたいという気持ちが人一倍強いのでしょう。持つ、持たない。必要、不要。その判断は自分自身でするもの。人にはそれぞれの暮らしや考えがあり、自分が納得していれば肩書きは必要ないと思っています」
“ものは少ないほどいい”という考えもありません。
「増やしたくない、買いたくないと決めているわけではないのです。いいなと思うものとの出合いは大切にし、長く大事にする。そして、気に入って購入した家具には好みの器や花を飾ります。自分の心や暮らしに彩りを添える。それが、私の個性や考えを表現することだと思っているからです」
アンティークの家具や、着ている洋服がきっかけとなり、来客との会話が弾むことも。暮らしの中のちょっとした彩りは、自宅での料理撮影や取材を受ける機会が多い牛尾さん流のおもてなしでもあります。
「私の好みは長年変わっていませんが、今使っているものは惰性で持ち続けているわけではありません。生活スタイルや環境の変化に応じて、どうすれば暮らしや家事がスムーズになるかは常に考えています」
必要なもの、欲するものに対する感覚を研ぎ澄まし、それ以外は持たない。自分軸がしっかりあるからこそできる、ものの選び方です。この考え方はものだけでなく、スケジュールやお金に対しても同じ。
「貯蓄はしていますが、投資は未経験です。理由は、価値が上がったり下がったりして気持ちが振り回されるのが嫌だから。ふるさと納税が節税になるのは理解できるけれど、欲しいものは欲しいときに自分で選択して購入したい。もし今後利用するなら、災害への寄付を選択するかもしれません。何事も、とにかくシンプルでいたいんです」
来客用にスタンバイしている鉄と革の椅子。ある陶芸家がメキシコから日本に持ち帰った民芸品のレプリカです。購入から20年以上たちますが、修復しながら使い続けています。
