【阿川佐和子さん・72歳】人生が楽しくなる! 老いのポジティブな受け止め方とは?
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ゆうゆう編集部
テレビ番組のMCや、時には俳優としても活躍するエッセイストの阿川佐和子さん。「老いもまた楽し」とポジティブに老いを捉えて、笑い飛ばす等身大エッセイ『吾(われ)も老(おい)の花』について、お話を伺いました。
「女の老人力は存在するのか」から始まった連載エッセイ
テレビ番組のMCとして、一筋縄ではいかない出演者をクールにさばく姿が魅力的な阿川佐和子さん。週刊文春の名物連載「阿川佐和子のこの人に会いたい」は30年以上続き、介護や老いも含め、暮らしのさまざまをユーモラスにつづるエッセイは、楽しく明るい気持ちになれる、と人気だ。ときには女優としても活躍。昨年秋には、連続テレビドラマ『小さい頃は、神様がいて』で草刈正雄さんの妻役を演じ、話題を呼んだ。
古希を超えて、ますます元気な阿川さん。70歳を過ぎて、仕事が増えたという。
「ありがたい話なのですが、今、雑誌の連載が7本、『週刊文春』の連載対談もあり、レギュラーのテレビ番組が3本。なんでこんなに毎日、追われているの? というような状況で。仕事のお話をいただくと、面白そうって思って引き受けちゃうので増えるんですが……。ドラマのお話がきたときは、さすがに無理っ、と思ったものの、『草刈正雄さんの奥さんです』と聞いて、『やります』って言っちゃったんです」と楽しそうに笑う。
新刊『吾も老の花』は2部構成のエッセイ集。本のタイトルでもある第一部の「吾も老の花」は、季刊誌「kotoba」に2021年冬号から25年秋号まで連載されたものだ。連載開始時のテーマは「女の老人力」。「男の老人力は存在するようだが、女の老人力はどうなのか?」という疑問から始まったという。
男と女はどう違うのか。年を重ねるとどう変化するのか。関係性はどうか。持ち前の視点で、自分自身、家族、友人、ゴルフ仲間、仕事で出会った人々などを観察し、「あるときは自虐的に、またあるときはドヤ顔風に」(あとがきより)検証する。
思わず「なるほど」「そうだよね」と、相槌を打ちたくなる展開に、読み進むにつれ「老いを楽しむ」阿川さんの心意気に感化されていく。
シワもシミも腰痛も初体験。老いをポジティブに受け入れる
なかでも圧倒されるのが、歌手、瀬川瑛子さんのエピソードだ。金髪、真っ赤な服でピンヒールをはき、70代半ばとは思えない溌剌とした瀬川さんに「どこもお身体は悪くないのですか?」と阿川さんは尋ねる。
「そうしたら『佃煮になるほど、あちこち不調』とおっしゃって。加えて、『あるときお尻のあたりがものすごく痛くなって。でも私、歳を取るのは初めてだったから、それが坐骨神経痛だなんて知らなくて……』とおっしゃる」
天真爛漫な瀬川さんの返答に、しばし笑い転げながら、老化現象の数々を「初めての体験」として受け止める瀬川さんの素直さに、阿川さんは胸を打たれたという。そこから思いをめぐらし、「何にでも驚き、面白がり、いくつになってもはしゃぐ心を忘れないばあさんになってみるのも一考では」と思い至る。
「まぶたがたれてくるのもシワが増えシミがとれないのも腰痛になるのも、ぜんぶ初体験なんですよ。瀬川さんのように『初めてだから驚いちゃった』と捉えれば、なんとなく乗り越えられそうな気がしてくるのでは、と思ったんです」
最初は憂鬱だった腰痛も、和らげる手立てを知れば、ほどよくつき合いながら生きていけるし、腰痛になったからこそマッサージ師の友人もできた。老眼で初めて眼鏡を作るときは心なしか誇らしい気がしたし、眼鏡をかけた新しい自分の顔を知ることができた。そうつづる阿川さん。なんと素晴らしいポジティブ思考!「老い」も、そんなふうに捉えていけば、人生は楽しくなりそうだ。
