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実話ミステリー級:犯人を特定したのは“DNA”だった——その最初の事件

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ゆうゆうtime編集部

1万体以上の検死・解剖に立ち会ってきた法医学医が見てきた、事件現場の“人間の物語”。一見すると不可解な死も、わずかな手がかりをたどることで、事件の真相が浮かび上がってきます。ノンフィクションでありながら、まるでミステリーのように読み進められる世界。『死体は語りだす』フィリップ・ボクソ著(三笠書房刊)から、一部抜粋してお届けします。第4回は、DNAが、初めて犯人を暴いた日——。

▼前回はコチラ▼

>>『モナ・リザ盗難事件』はなぜ2年も未解決だった?意外な盲点と“新技術・指紋鑑定”が犯人を暴くまで

DNAが、初めて犯人を暴いた日

法医学医は、身元不明死体の解剖に着手する。

その目的は、死亡原因を探るためだけでなく、手術の痕跡といった個人特定に有益なあらゆる要素をチェックするためだ。

胆嚢が切除されていないか? 心臓バイパス手術が行なわれていないか? 甲状腺は全摘もしくは部分切除されていないか? 私たちはまた、骨折治療の痕跡や、骨折合術[プレートやネジなどの器具を用いて骨折部を直接固定する方法]で使われた器具をチェックする。こうした器具には番号が付されている場合もあるため、個人の特定に役立つ。プロテーゼを製造した企業に問い合わせ、プロテーゼに付されている番号を伝えれば、どの病院に当該プロテーゼを販売したかを教えてもらえる。そして病院に問い合わせれば、当該プロテーゼが誰に装着されたのかが分かる。

解剖には歯科医も参加し、オルソパントモグラフィー[上下の歯や顎全体を撮影するX線検査]を行なうのと同時に、歯の状態を調べ、欠損している歯はないか、入れ歯や詰め物がないかなどを確認する。確認した内容をまとめたレポートが作成され、これを行方不明者たちの歯科診療記録と比較して、該当者がいないかを調べる。

解剖の過程において、私たちは血液もしくは筋肉を採取し、DNA型鑑定に回す。

近代の犯罪科学の発展に貢献した第三の重要要素であるDNAは、今や、犯罪捜査における「証拠の女王」となった。そして、DNA型鑑定技術を開発したアレック・ジェフリーズは世界的な知名度を獲得した。

すべては、イギリスのレスターシャー州で1983年と1986年に起きた2人の少女——リンダ・マンとドーン・アッシュワース、2人とも15歳であった——のレイプと殺害から始まった。捜査は難航し、1987年に警察はアレック・ジェフリーズに協力を求めた。レスター大学の遺伝子学者であったジェフリーズはその数年前に、酵素を使ってDNAを分解すると一人ひとりに違いが出ることを突き止め、これは指紋と同じく個人特定に使うことができる、と論文で発表していた。

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