『団地のふたり』第8話:建替え計画が動き出す夜、団地の歴史に胸が熱くなる
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柚野木
一昨年、NHK BSで大きな話題を呼んだ「団地のふたり」が、NHKドラマ10で地上波放送に。小泉今日子と小林聡美が演じる50代の幼なじみと、団地に暮らす人々との何気ない日常を、やさしいまなざしで描いた名作です。もう一度楽しみたい人も、初めて見る人も、その見どころを振り返ります。
※ネタバレあり
東山さん(ベンガル)はただの“偏屈な老人”ではなかった
夕日野団地もついに築58年目を迎え、これまで噂に出ていた「建替え計画」プロジェクトが現実となって動き出す。大規模な修繕をするのか、それとも建替えるか、住人たちはアンケートでどちらかを選ばなくてはならない。どちらにしても大変な作業だ。建替えとなったら一時的に引っ越しをすることになる。長く住み続けてきた自宅への愛着もあるし、自分がいつまで元気でいられるかもわからない。すぐに決断しろというのは、ずいぶん酷なことだ。
佐久間のおばちゃん(由紀さおり)が「(建替えを)やるんなら、私が死んでからにしてほしい!」と言うが、こう叫びたくなるのは、もっともだと思う。
そして建替えかどうかを考える前に、そもそも私たちは団地の成り立ちについて考えてこなかったのではなかろうか。この回では、ある人を介して、団地の歴史や戦後の宅地開発について教えてもらい、“豊かな暮らし”について改めて考えさせられることとなる。
ある日、ひとり暮らしの東山さん(ベンガル)が部屋の中で倒れてしまった。これを「日頃の行いがよかったせい」と言っていいのか悩むところだが、運よく、すぐに見つけてもらえた。そして救急車で病院に搬送されるときには、なっちゃん(小林聡美)とノエチ(小泉今日子)が同乗することとなる。
これをきっかけにふたりは東山さんと会話をする仲になり、この人の人物像が浮かび上がってくる。こちらも今まで“偏屈な老人”としてしか見ていなかったが、話が進むにつれて情がわいてくる。
実はこの人、建築学の研究者で、大学生の頃から夕日野団地と縁があったのだ。建設計画のプロジェクトから関わっていたため、団地への思い入れには並々ならぬものがあった。理事長(橋爪功)に託した「意見書」では熱い思いを語り、建替えするにしても経済効果を求めるだけのものなら反対する、と固い決意をしたためている。いままでさんざん言ってきたクレームにも、それなりの理由があったことがわかる。
意見書が読まれる場面では実際の宅地開発の映像も映し出され、団地の歴史を知ることができ、建築家たちが豊かな暮らしのために徹底した条件についても教えられる。たとえば団地の建物内に光が十分に差し込むこと、緑あふれる空間や、子どもの遊び場があることは「たまたま」ではなかった。戦後の住宅問題に挑戦した人たちの情熱を知るうちに、こちらまで胸が熱くなってくる。
