『団地のふたり』第8話:建替え計画が動き出す夜、団地の歴史に胸が熱くなる
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柚野木
福田さん(名取裕子)は「女優だった」というエピソード
そしてこの意見書に託した東山さんの願いは、このドラマの制作陣からのメッセージとして受け止めてもいいと思う。実在する団地で撮影を行い、リアルな生活空間を見せる演出で、団地の魅力、ゆとりのある空間の豊かさをじっくり見せていく。そうやって、私たちが忘れてはいけないことは何かを、語りかけてくれていると思う。
そして昨今、団地に魅力を感じている人が若い世代でも少なくないように思う。近頃の「昭和レトロ」ブームは、ぬくもりのある生活様式そのものに惹かれているから、広がっているのだ。熱意のある人たちが斬新なアイデアを出し合ってそれを形にしていけば、団地に子育て世帯がまた増えていくのではないか。そんなことを、ついつい期待してしまう。
さて、東山さんとの交流をきっかけに団地の歴史を知ったノエチとなっちゃんは、ますますここが愛おしくなっていくのだが、その一方で、未練なく去って行く福田さん(名取裕子)のような人もいる。韓国ドラマにどっぷりはまった先に、自分自身もドラマティックに生きることを選んだのだろうか。去り際の様子がちょっと危ういが、それもまた謎につつまれた福田さんらしい、というところか。
最後に彼女が「女優だった」というエピソードが出てくるが、ここでは80年代に放送された実際のドラマのシーンが映し出され、ふたりと一緒に、こちらも「かわいい、きれい、色っぽい」と当時の名取裕子に見入ってしまう。これだけ魅力的な人が去るとなると、親衛隊ならずとも、落ち込む人は続出するだろう。
福田さんみたいに恋のために何もかも捨てるなんて、とても真似できないし、そもそも憧れもしない。ふたりが心から望んでいるのは、まずは平穏無事であることだろう。その上で、のんびりと、ひっそりと自分らしい暮らしをここで続けていくこと。それが“主役”である自分の人生のあり方だ。
でもそのためには、まず団地が存続してもらわないと困る。
果たして住人たちの意見はまとまるのか。ここからどんな展開が待っていようとも、このふたりがバラバラになりませんようにと、こちらはそれを祈るばかりだ。
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