「またお会いしましょう」国民を励ましたエリザベス女王。ジャーナリスト多賀幹子さんが選ぶ女王陛下の3つの言葉とは
女王の励ましの言葉で心を前向きに
ユーモアだけではない。女王は時代の節目ごとに、言葉によって人々を励まし、勇気づけてもきた。
「今から2年前、コロナ禍のクリスマススピーチが印象的です。世界中でコロナが蔓延し始め、イギリスでも多数の死者が出るなど厳しい状況。みんなが不安を抱えていたとき、女王陛下が『コロナ禍は大変ですけれども、必ずよき日がまた戻ってきますから』とスピーチされました。そして最後に『またお会いしましょう』とおっしゃった。『必ずまた会えますからね』と、大きな不安の中にある国民を励まされたのです」
スピーチの翌日から、英国民はこの女王の言葉を繰り返し、互いに励まし合ったという。
「これから一体どうなってしまうのかと怯えていた国民は、この励ましの言葉のおかげで心を落ち着かせることができた。女王陛下は国民の欲しい言葉をちゃんと与えてくださる、と称賛されました」
危機的な状況下、人々の心を救ったのは女王からのメッセージ。これこそが言葉のもつ力だろう。
「テレビに出て、姿を見せて、自分の言葉で話しかける。エリザベス女王ほど、言葉の力を信じていた方はいないと思います。女王は一日も欠かさず日記をつけていらっしゃったそう。そういう点からも、言葉に対する研ぎ澄まされた感覚があり、言葉でアピールする力を信じていたのではないかといわれています」
「We will meet again.」
またお会いしましょう。
毎年恒例のクリスマススピーチ。コロナ禍が始まった2020年には、「私たちはまた会えますから、元気を出して乗り越えましょう」というメッセージで国民を元気づけました。国民に心を寄せた励ましと未来への希望、まさにこういう言葉を国民は求めていたのです。