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【ガーデニング】春の妖精を咲かせたい! 8種のスプリング・エフェメラル【毎年彩る多年草】

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光武俊子

「スプリング・エフェメラル」または「春の妖精」と呼ばれる植物たちをご存知ですか? 「エフェメラル」は「はかない」という意味。小さくはかなく見えますが、初夏に枯れたあとも地下でちゃんと生きていて、来春もまた花を咲かせます。そんな花たちの存在を知っていただきたくて。庭や鉢植えで、春の妖精たちを咲かせませんか。

春の妖精、スプリング・エフェメラルとはどんな植物?

上の写真のピンクの花はカタクリ。日本の代表的なスプリング・エフェメラルです。反り返った花の形がシクラメンに似ていますが、長く咲くシクラメンに対して、カタクリの開花期は2~3週間。初夏には地上部もすっかり消えてしまいます。

その様子からスプリング・エフェメラル(春のはかなさ)と呼ばれます。
スプリング・エフェメラルは小さいので、ほかの植物が育つより早く地表に現われて咲き、ほかの植物に隠れてしまうころには茎葉が枯れ、夏~冬を地下で過ごします。

春の3カ月ほどだけあらわれるため、春植物とも呼ばれます。
はかない花ではありますが、この咲き方は小さい花ならではの戦略で、来春にはまた咲く多年草です。

ただ、高温多湿が苦手で自生地の開発も進み、今では北海道や本州中部などの限られた場所で自生。関東などでカタクリの里などと観光スポットになっているところは、たいてい人が保護管理しています。それだけ可憐に咲く小さな花々の魅力は、人を惹きつけるものですね。

では、カタクリ以外のスプリング・エフェメラルはどんなものがあるか、見ていきましょう。

【ガーデニング】春の妖精を咲かせたい! 8種のスプリング・エフェメラル【毎年彩る多年草】(画像2)

自生地で群生するさまが見事なカタクリ。

早春を彩るスプリング・エフェメラル

春の光を集めて輝く【フクジュソウ】

開花期/2~4月 草丈/10~20㎝

本州から北海道の山野に分布。福を招く花として、お正月の鉢物でもよく出回ります。地面から数㎝の高さで咲かせる黄色い花は、早春の光を集めたように輝いて美しい。芽のしっかりした苗を選び、落葉樹の下などに植えましょう。鉢植えは風通しよい場所で夏越しを。

青空を映すような花色【エゾエンゴサク】

開花期/4~5月 草丈/10~30㎝

北海道や東北地方の山間の林床などに自生。新葉の出る前の落葉樹林で、日差しを浴びて青色の花を群れ咲かせます。冷涼な気候を好むので、関東など暖地での栽培は難しいため、本州以西に分布するヤマエンゴサクや学名のコリダスで流通する外国産の品種がおすすめ。

風にそよぐ軽やかさ【イチリンソウ】

開花期/4~5月上旬 草丈/20~30㎝

本州~九州の林床などに自生します。関東でも人里近い山林に群れ咲くのが見られ、草丈低くても風にそよぐ軽やかな花。アネモネ属で、日本にはニリンソウやキクザキイチゲなど、仲間が多い。花後に葉が早く傷むと翌年に咲かなくなりやすいので、花後は日陰で涼しく。

いち早く春を告げる【チオノドクサ】

開花期/2~4月上旬 草丈/約15㎝

スノードロップと同じ小型の秋植え球根で、寒中から咲き出して植えたままでも毎年よく咲きます。青のほかにピンクなどの花色もあって、花の真ん中が白く抜けてかわいらしい。草丈低いので、立ち上げた花壇や吊り鉢などで視線に近い場所に飾りたいものです。

グラウンドカバーとは、地表を這うように広がり、地面を覆う植物を指します。クリーピングタイム、シバザクラなどが代表的で、雑草の抑制や土壌の乾燥防止、美観の向上に役立ちます。

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秋植え球根とは、秋に植えつけるタイプの球根で、冬の寒さにあたることで春に花を咲かせる性質があります。代表的なものにチューリップ、ヒヤシンス、クロッカス、スイセンなどがあり、開花時期や草丈、花色もバリエーション豊富です。植えつけの適期は一般的に9月下旬から11月ごろで、寒冷地では少し早め、温暖地では遅めに調整します。日当たりと水はけのよい場所を選び、深さは球根の高さの2~3倍を目安にします。根が張るスペースを十分にとり、冬も乾燥しすぎないように水やりすることが大切です。 ガーデニングでは、春の庭を華...

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マルチングは、土の表面をワラやバーク(樹皮)チップ、プラスチックフィルムなどで覆うことです。乾燥防止、雑草抑制、土の流出防止、地温調節などの効果があります。

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雄しべとは、花の中で花粉を作り出す雄性生殖器官で、花糸(かし)と葯(やく)からなり、葯の中で花粉が形成されます。授粉により花粉が雌しべに付着して受精が行われるため、花の繁殖に欠かせない器官で、花の形態観察や分類にも重要な部位です。

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落葉樹とは、秋から冬にかけて葉を落とす樹木のことです。紅葉や黄葉を楽しめる種類が多く、サクラ、カエデ、イチョウ、カエデ、イチョウなどがその代表例で、ガーデニングにも人気があります。落葉することで冬場の水分消費を抑えるなど、自然界での適応力もポイントです。

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山野草とは、山地や野原などの自然環境に自生する草花の総称です。季節の移ろいとともに可憐な花を咲かせるものが多く、例えばフクジュソウ、イワウチワ、ホトトギスなどが知られています。近年では自然の趣きを大切にしたガーデニングスタイルとして、鉢植えや盆栽仕立てで育てる愛好家もふえており、日陰や半日陰などの環境を生かして、庭の一角に山野の風情を取り入れることができます。

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寒冷地とは、平均気温が低く、冬季に雪や霜が多く降る地域を指し、園芸においては栽培可能な植物が限られる環境です。北海道や本州内陸部などが該当し、霜害や冬越しの難しさが課題になります。寒冷地では耐寒性の高い宿根草や球根植物が重宝され、逆に熱帯性植物は室内での越冬が必要です。栽培カレンダーも地域ごとに調整が必要で、気候に合った植物選びがガーデニング成功の鍵となります。

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多年草とは、開花、結実後も枯れずに生長する植物のことを指します。一度植えると数年にわたり生育し、毎年花を咲かせます。

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夏越しとは、暑さに弱い植物を夏の高温や強い日差しから守り、元気な状態で夏を乗り切らせる管理のことです。鉢を日陰に移動する、風通しをよくする、水やりを工夫するなどの対策が必要です。

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地植えとは、植物を鉢やプランターではなく庭の地面に直接植える方法のことで、根が土中に自由に広がるため株が大きく育ちやすく、水やりや肥料の持ちもよくなるといったメリットがあります。例えばバラや宿根草、樹木類などを長期間育てたい場合に適していて、植えつけの際には土壌の排水性や日当たり、風通しなどを考慮して場所を選ぶことが大切です。

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花弁とは、一般に「花びら」と呼ばれる部分で、花の中でも最も視覚的に目立つ構造です。昆虫を引き寄せるための鮮やかな色や形、香りを備えており、園芸植物ではこの花弁の特徴が観賞価値に直結します。八重咲きや一重咲きの違いも花弁の枚数に関係しており、育種や品種改良ではこの部分の改良が重点的に行われます。雨や暑さで傷みやすいため、花弁の丈夫さもガーデナーには重要なポイントです。

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用土とは、植物を育てるために使う土のことです。植物の種類に合わせて、水はけ、保水性、通気性、栄養のバランスを考えてつくられています。園芸店では「観葉植物用」「野菜用」「多肉植物用」など、目的別の用土が販売されており、初心者でも使いやすくなっています。

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球根とは、植物の栄養を蓄えた地下の器官で、翌年の発芽や開花に必要なエネルギーを蓄える役割を持ちます。チューリップやヒヤシンス、ユリなどが代表的な球根植物で、秋に植えて春に咲く秋植え球根、春に植えて夏に咲く春植え球根などに分類されます。球根は植え方や植えつけ時期、水はけのよい土などの条件を整えることで、毎年美しい花を咲かせることができます。

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学名とは、植物や動物を世界共通で呼ぶために使われるラテン語などによる正式な名称で、属名と種小名の組み合わせから成ります。例えばバラの学名は「Rosa hybrida」で、学術的な識別や国際的な情報交換に不可欠です。和名や英名と異なり、学名は重複や誤認が少なく、分類体系に基づいた整理が行われています。

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品種とは、ある植物の中で、花の色や形、実の大きさなどの性質が、明らかに他の植物と異なる栽培植物のことです。園芸品種や栽培品種の略称です。

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萼とは、花の一番外側にある葉のような構造で、つぼみを保護する役割を果たします。多くの植物では緑色で硬く、花が咲いた後も果実の下に残ることが多く、花の構造や分類を理解するうえで重要な要素です。例えば、ナスの実の下部についている星形の部分が萼であり、種によっては目立たず早期に脱落するものもあります。また、ガクアジサイのように、萼が大きく発達して花のように見える装飾花となる場合も多くあります。

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