田幸和歌子の「今日も朝ドラ!」
朝ドラ【舞いあがれ!】新商品の単価が3万円以上⁉︎ おままごと感が際立つ展開にモヤモヤ
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田幸和歌子
舞ちゃんはどうなる⁉︎ わくわくしながら朝ドラを見るのが1日の始まりの習慣になっている人、多いですよね。数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。より深く、朝ドラの世界へ!
福原遥がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』の第23週「飛躍のチャンス」が放送された。
脚本担当がメインライターの桑原亮子氏から佃良太氏に再び代わった今週。
物語は大きく分けて、舞(福原)と元新聞記者・御園(山口紗弥加)が立ちあげた会社「こんねくと」の初仕事~軌道に乗るまでと、久留美(山下美月)のフライトナースへの夢と父・佳晴(松尾諭)との父娘共依存問題&佳晴の恋愛問題の2本が描かれる。
舞たちはパンチングメタルを製造する仙波(森下じんせい)の会社からの相談を受け、金属板に細かい穴を開けるデザインパンチングで絵を描く技術を用いて、専門の設計士・我妻(久保田磨希)の助力を得て、新商品の照明を完成。しかし、単価3万円以上で売ろうと思っていた舞たちに対し、大手インテリア会社がパンチングのみ仙波の会社で行う+他は中国の工場に委託することにより単価1万円で大量生産したいと申し出たことから、こんねくとは企画料などだけもらい、大手に任せることに。
相変わらず御園の記者経験や人脈が生かされることはなく、舞たちはターゲットも定めず、価格設定もせずにパンチングデザインの照明を作り、手間などを考慮して価格3万円以上で売ろうとする甘さ、おままごと感が際立つ展開だ。
一方で、なぜか情熱が注がれたのが、またしても恋バナ。台風による停電で舞と貴司(赤楚衛二)が毛布にくるまり、イチャイチャ→舞が妊娠。同じく停電で久留美と悠人(横山裕)が暗闇の中、パンチングの照明を挟んで語らい、背中を押された久留美がフライトナースになりたいことを父・佳晴を話し、承諾される。一人になる父を心配した久留美が、「ノーサイド」のママ・津田道子(たくませいこ)と一緒になってほしいなどと余計なことを言い出し、その気になった佳晴が言い訳めいたプロポーズをして玉砕。しかし、佳晴は舞らに励まされ、金属アレルギーの道子でもつけられる指輪を「こんねくと」に注文。素人デザインの指輪でもう一度プロポーズしてOKされるという流れだった。
このくだりで大きな問題点がいくつかある。
ひとつは久留美が自分の身代わりとして、佳晴の家政婦兼介護要員を道子に押し付けようとしたこと。自分でけしかけておきながら、佳晴のヘタクソなプロポーズに喝を入れたこと。
もう一つは、視聴者の逆鱗に触れた佳晴のプロポーズ。「お互いええトシして独身やし……」「津田さんみたいしっかりした人と一緒になったら、久留美も安心やん。老後も安泰やからなぁ」という言い方はおそらく照れ隠しで、自分の気持ちを伝えるのが恥ずかしいから、娘のせいにしているのだろう。にしても「誰があんたの家政婦になんねん!」と激怒されるのは当たり前だ。
そしてもう一つの問題というか、ミステリーは、久留美と佳晴の親子関係。