【朝ドラ】田幸和歌子が語る「らんまん」第1週。悲しい別れと出会いが、静かな演出で美しくまとめられる
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田幸和歌子
花を病床のヒサに渡すことができたが、残念ながらそれは探していたバイカオウレンとは別の花だった。ヒサはキレイと言ってくれたが、その誤りが万太郎がもっと植物を知りたいという動機につながっていく。
ディーン・フジオカによる『あさが来た』っぽさや、「ブシムス(私は武士の娘です!)」の松坂慶子による『まんぷく』っぽさ、神様も植物の息吹も「見えないけど、いる(ある)」不思議な力を思わせる『ゲゲゲの女房』っぽさなど、過去の良作を思い出させる要素がいろいろ盛り込まれながらも、それをグイグイ前面に押し出すのではなく、あくまで静かな劇伴と演出で美しくまとめていた第1週。
今週特に印象的だったのは、危篤になったヒサを嘆き、そんなときに行方知れずとなった万太郎らに憤り、様々な感情が今にも破裂しそうになったタキの様子。万太郎らの姿を見た途端、感情をそのままぶつけ、叩くのかと思いきや、パンパンに膨らんだ心がふわりとゆるみ、万太郎を抱きしめる様が実に見事だった。
蔵人たちを和ませたシーンといい、弱い万太郎に備わった力を信じさせる名シーンであった。
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