【おとなりに銀河】一郎(佐野勇斗)のカッコいい宣言に胸が熱くなる。これほど頼もしい男に成長するとは!
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marumi
売れない漫画家のもとにやってきたのは、とある島の王族の姫……となるともう、なにも始まらないわけがありません。NHK夜ドラ『おとなりに銀河』で恋愛初心者のふたりを演じるのは、佐野勇斗さんと八木莉可子さん。ふたりの恋の物語をチェックして、キュンに備えて!
(ネタバレにご注意ください)
不思議なシチュエーションで始まった苦労人漫画家・久我一郎(佐野勇斗)と流れ星の民の“姫”・五色しおり(八木莉可子)とのラブストーリーも最終の第8週。しおりの両親にふたりの思いを伝えるため、一郎の妹のまち(小山紗愛)、弟のふみお(石塚陸翔)を伴って、4人で流れ星の民の島へ向かう。
まず、しおりの父・健(前川泰之)に対峙する一郎。健の「しおりが都を納得させるくらいの何か新しいものを見つけることができたなら、それはそれでいい」という言葉に、一郎は「あなたたちを納得させるためにしおりさんががんばる必要はない」と毅然と返す。そして、「しおりさんが落ち着いて生活できるように全力を尽くします」とカッコよく宣言する。
最初はおどおどして自信なさげだったおにぃが、これほど頼もしい男に変貌したのは、しおりを愛する気持ちが一途だからこそ。五色パパの、「同じ男として、よく言った」と苦虫を嚙みつぶしたような、でも一郎を励ますようなまなざしがあたたかい。
一方、母・都(河井青葉)に、あなたの跡を継ぐつもりはない、と毅然と告げたしおり。「あなたはこの島の平和を、幸せを、奪う気?」と悲痛な叫びを投げかける五色ママに「私とお母さまは違います」とキッパリ言い放つ。さらに、「初めて描いた漫画で、期待賞と言われた自分が好き」「特別でも、天才でも、“姫”でもない、ただの私がいいんです」とも。画面から緊張感がヒシヒシと伝わってきて、胸が痛くなるようなシーンだ。
母の愛は受け取れない、と真っすぐな目で伝えるしおりの姿。他人からは憧れだったり信仰の対象だったりする立場であっても、自分の望まないポジションを押しつけられることには耐えられない。そんな思いを抱いたしおりにとって、「期待賞」は、島を出て自分で選んだ場所で、自分らしく生きたことを認めてもらったかけがえのないご褒美だったに違いない。
親子それぞれが自分の気持ちをストレートにぶつけあった大切な時間。家族の関係が希薄になりつつあるいまの時代では、稀有なできごとなのかもしれない。だからこそ、大切にしたい通過儀礼とも言える。五色パパがポツリとつぶやいた「ぼくたち、子離れしないとね」という言葉に、この物語のテーマのひとつは、「子離れ、親離れのむずかしさ」だったと気づかされる。