有形文化財の宿で加賀の伝統工芸を満喫

　いよいよ蟹のシーズン到来！　この時期ならではの活蟹料理を楽しみに、加賀温泉郷のひとつ、山代温泉にある旅館「界 加賀」を訪ねました。「界のこみこみ旅」なら、宿泊・往復航空券・現地でのタクシー移動が一括手配ＯＫ。2泊3日の北陸旅行が手間なく楽しめます。

　小松空港からタクシーで約30分。山代温泉は開湯1300年を誇り、加賀藩主・前田家の殿様も通ったという名湯です。そんな歴史ある温泉街に佇む「界 加賀」は、伝統建築の「紅殻格子」がひときわ目をひく、国の登録有形文化財の宿。太い大黒柱と丸太の梁を組み合わせた「枠の内」という吹き抜け空間のロビーは、天井から北陸の雪を模した加賀水引のアートが飾られていて、その繊細な美しさに心奪われました。

　全48室の客室は、加賀友禅や加賀水引、九谷焼などに彩られたご当地部屋「加賀伝統工芸の間」。伝統を感じさせる優雅なしつらえが、贅沢なくつろぎ時間を演出してくれます。

　お部屋でひと息ついたら、大浴場へ。とろりとした湯触りの温泉は、よく温まって肌が潤う「美人の湯」と評判のナトリウム・カルシウム–硫酸塩・塩化物泉。九谷焼のアートパネルを眺めながら、加賀の風情あふれる湯浴みを楽しみました。

日本伝統の器の修復技法「金継ぎ」。夕食で金継ぎされた九谷焼の器に出合えることも。

作家が「界 加賀」のために手がけた山中漆器。当地で400年の歴史を持つ伝統工芸です。

今年4月にオープンした「金継ぎ工房」。修復作業の見学や、修復作業に参加する体験（無料、定員6名、当日予約制）を実施。

2024年2月29日まで開催されているご当地文化体験「手業のひととき」（有料）では山中塗の木地師が酒器を削り出す技を見学。その場で木地師に酒器をあつらえてもらいます。

あつらえてもらった酒器を宿に持ち帰り、夕食時にこの器で日本酒を楽しみます。無垢の木の香りが残る酒器での日本酒体験は感動モノです。後日、漆職人のもとで漆が何度も塗られ、山中漆器の完成品が自宅に届きます。

活蟹料理や金継ぎ体験などお楽しみもいろいろ

　夕食はお待ちかねの「活ずわい蟹会席」。一人当たり１・５杯の蟹を使用した冬の特別会席です。鮮度抜群の蟹刺し、蟹みそが香ばしい甲羅焼き、メインの「活蟹しめ縄蒸し」など、“口福”の時間を堪能しました。

　2日目は「器」をテーマに、温泉街や館内体験を楽しむのがおすすめ。加賀は九谷焼発祥の地であり、山代温泉は芸術家で美食家としても知られる北大路魯山人ゆかりの「魯山人寓居跡　いろり草庵」が残る地。「器は料理の着物」-――そんな魯山人の言葉にならい、「界 加賀」では器と料理のマリアージュにもこだわっているそうです。

　そして、大切な器を末長く愛用するために生み出されたのが「金継ぎ」。これは、割れや欠けなど陶磁器の壊れた部分を天然漆で接着し、金などの金属粉で装飾して仕上げる修復技法です。館内には今春、「金継ぎ工房」がオープン。作業見学や工程の一部体験を通して、金継ぎの奥深さに触れることができました。

　3日目は、宿前にある、明治時代の共同浴場を再現した公衆浴場「古総湯」で朝風呂を堪能。熱めのお湯で、頭も体もすっきり目覚めました。宿泊者は無料で利用できるのも嬉しいポイントです。

　チェックアウト後は加賀温泉郷や金沢を散策するのも◎。雅な伝統と新しい感性が融合する加賀は癒やしと刺激に満ちあふれ、ワンランク上の大人旅を叶えてくれますよ。

冬の特別会席「活ずわい蟹会席」。まずは新鮮なまま氷水に浸し、身を一筋一筋立てた蟹脚とハサミの刺し身から。

蟹についている青いタグは石川県内の漁港で水揚げされたことを示し、極上品の証しでもあります。海水と同じ濃度の塩水に浸した縄を活蟹に巻きつけ、蒸し上げた「活蟹しめ縄蒸し」は絶品！

他にも蟹の甲羅焼きや蟹鍋など、冬ならではの美味がいっぱい。

ご当地部屋「加賀伝統工芸の間」。全48室中、18室が露天風呂つき。

若手作家による九谷焼のアートパネルに彩られた大浴場。

界 加賀

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