【ブギウギ】初めて訪れた家でウサギを抱えて窓から?ドタバタ展開に少々違和感が
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田幸和歌子
姉と自分が本当の姉弟ではないのではないかという六郎は、ベラベラと無神経にそれを口にし、スズ子に咎められる。
子役時代の六郎は、亀を愛する風変わりな子で、余計なことを言ってしまう面はあったものの、エネルギッシュな姉に比べ、客観的で、本質を突く鋭さ・聡明さのある子だった。
ところが、今は初めて訪れた治郎丸家でウサギを抱えて窓から入ってくるような、どうかした子になってしまった。かつての鋭さ・聡明さはどこに行ってしまったのか。
橘が礼子を好きなのではないかという勘繰りを、無神経にみんなの前で口にする白川(清水くるみ)。子役時代には、貧しさと苦労でギスギスしている和希に対し、自分にも事情があるのに裕福な家庭で苦労知らずのように扱われる苛立ちが爆発し、「苦労で威張らんといて!」と言い放った、気丈さと繊細さがあったのに……。
しかも、礼子たちが去って間もなく、礼子が勝ち取ってくれた休暇の使い道について、明るくベラベラ話す様には、なんだか寂しくなってしまう。
さらに治郎丸家の人々は、最初は人違いをしたくせに、スズ子を知ると、菊三郎にそっくりだと露骨に大騒ぎ。
コントのようなドタバタ具合で、よう似とる、見てられん、菊三郎にそっくりだと口々に言うのもどうかしているし、スズ子に問い詰められたタカのセリフも「ホンマのこと言わせてもらうで。あんたはほんまはこの家の子じゃけん。菊三郎の子じゃけん」とひどく芝居がかっている。
演出色が大きく影響しているのかもしれないが、今週は本当に『拾われた男 Lost Man Found』や映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』の足立紳脚本なのかと少々違和感を覚えるほど。
もしかしてこの唐突な「アホで無神経な子たち」と「ドタバタ展開」は、『ブギウギ』がロケで破損したと報じられた国の重要文化財の滋賀県東近江市の百済寺が、今週の舞台として登場したことと関係があるのだろうかなどと、妙な憶測までしてしまいそう。
来週はスズ子の出生をめぐり、シリアス展開に突入するだけに、ハラハラしつつも注視していきたい。