【ブギウギ】3ヶ月の拘束と引き揚げを涼しい顔で「大変だったぁ」の一言でまとめるのが、羽鳥(草彅剛)というキャラクター
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田幸和歌子
闇市で売られていた1枚10円、当たれば10万円の「宝くじ」。スズ子はそれを運試しで買うが、後日小夜はひとりでふたたび闇市の宝くじ屋を訪れる。4枚買えば外れてもタバコ10本と交換できると言われるが、小夜のへそくりでは3枚しか買えない。そこにサッと現れ「ワンモア」ともう1枚購入したのが、チョコレートを配った米兵・サムだった。なんだか運命の出会いのような描かれ方だ。その後も時折合間をみては小夜とサムは交流を深める様子が描かれ、何か物語に関わりそうな雰囲気を醸し出す。
戦後となり自由に歌えるようになるいっぽうで、楽団員たちの予定が合わなかったり、遅刻や早退することも増えてくる。楽団員たちも、それぞれの歩く道に忙しい日々を迎えていた。スズ子は困難を一緒に乗り越えてきた仲間たちに、解散を提案する。ワテらはもう自由や、「自由」とは戦時下からの解放ばかりでなく、その先のことも含めた意味合いだったのだろう。これからの歌手・スズ子の活動の舞台は、楽団解散後、どう展開していくのか、小夜とサムの行方は、そして愛助の体調は……。
正直いえば15週で主に描かれたことは、スズ子とりつ子二人のフルコーラスでのパフォーマンス、そして小夜と米兵をめぐるサイドストーリー的な展開が厚めに描かれるという2つだけだったかもしれない。戦後の混乱期を鮮やかに駆け抜けていくスズ子のこれからのための、そして作品後半戦本格的スタートに向けた、イントロダクションのような週にも感じ取れるが、ここから「ブギの女王」への大きな飛躍にどうつながっていくか見守っていきたい。