【ブギウギ】熱演朗読!人情味あふれ愛すべき山下(近藤芳正)のキャラクターはすばらしい
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田幸和歌子
大きな壁が立ちはだかる現実を感じさせない幸せそうな秘密の旅行。二人は湖畔で将来の家族についての夢を語り合う。美しい思い出。この先のふたりに待ち受ける史実的な運命を思えば、ふたりが幸せそうであればあるほど、笑顔であればあるほど切なくなる場面ではある。
しかし、ロマンチックに描かれる幸福そうな描写が逆にリアリティのなさというか現実離れした空間すぎて、ふたりの見た夢・妄想ではないかという気もしてしまう。実際、ふたりの抱擁から「福来さん!」と阪口に現実に戻される場面が描かれたことで、箱根旅行の場面はどこまで現実の旅行でどこからがファンタジーなのかわからなくされてしまっていた。
大切な思い出の時間を刻み、二人はそれぞれ東京と大阪で歩き始める。そんなさなか、スズ子の妊娠が発覚する。スズ子は産むつもりだ。愛助には手紙で知らせることにするが、間に挟まる坂口と山下にとってはまた新たな難題でもある。
“交渉人・山下”、一路大阪へ。涙ながらに土下座し必死の説得。そして、愛助から預かった手紙を大きな身振りとセリフまわしでスズ子と坂口の前で“熱演”朗読。この人情味あふれ愛すべき山下のキャラクターはすばらしい。
二人は結婚できるのか? 愛助の病状は? 物理的に離れ離れになり、大きく動いたようでありながら、ほとんど解決はしていない1週間でもあった17週。
18週では待望の赤ちゃんが誕生する模様。結婚・出産と並行して進んでいく、羽鳥が作り出す新作ミュージカル「ジャズカルメン」の世界。医師からも安定期だから大丈夫だろうと許可が降りたスズ子は舞台でどう新たな魅力をみせてくれるのか。課題を持ち越したままでの18週への突入だ。