誕生日プレゼントにお城をもらったら?【マリエンブルク城】を贈ったゲオルク5世とマリー王妃の物語
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鷹橋 忍
私の小さなエルドラド(理想郷)
マリエンブルク城は、メルヘンの世界を体現したような美しい外観を誇りますが、ドイツ彫刻の傑作といわれる本棚を備えた図書館など、その内部も目を奪われる素晴らしさです。
マリエンブルク城のホームページによれば、ゲオルク5世がマリー王妃の誕生日に城を贈った寄付証書には、「愛する妻の喜びと希望に応え、そして快適さを追い求めた」と記されていたといいます。
ゲオルク5世の妻への愛が詰まったマリエンブルク城は、マリー王妃の心を満たしました。
マリー王妃はマリエンブルク城を、「私の小さなエルドラド(理想郷)」と称したといいます。
ですが、この宝石のようなマリエンブルク城を、ゲオルク5世はその目で見ることはできませんでした。
なぜなら、ゲオルク5世は子どもの頃に病気で右目の視力を、遊びの最中の事故で左目の視力を失っていたからです。
そして、マリー王妃も、マリエンブルク城で長い時を過ごすことはできませんでした。
ハノーファー王国がプロイセン王国に併合されたからです。
プロイセンに併合される
城がまだ建設中であった1866年、普墺(プロイセン・オーストリア)戦争が起こり、ハノーファー王国はオーストリアに付きました。
ハノーファー王国の軍勢は「ランゲンザルツァの戦い」で勝利したものの、オーストリアは大敗してしまいます。
そのためハノーファー王国は、プロイセン王国に併合されたのです。
ゲオルク5世はオーストリアに亡命し、翌1867年、マリー王妃も夫を追ってオーストリアに亡命しました。
マリー王妃が、マリエンブルク城に戻ることはありませんでした。
現在は改修中
マリエンブルク城やハノーファーのホームページによれば、マリエンブルク城は2024年2月現在、改修工事中で、見学はできないようです。
改修を終えたマリエンブルク城は、ゲオルグ5世のマリー王妃への愛の証を、歴史に刻み続けることでしょう。