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【色の名前クイズ】どっちが「香色(こういろ)」?

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ゆうゆうtime編集部

香色は【A】

丁字(ちょうじ/クローブ)などの香りの高い香木を用いて染めた色のこと。平安貴族に好まれた染色で、「源氏物語」「枕草子」など、当時の文学作品にもこの色はよく使われていました。色は段ボールや事務用封筒のような薄茶色ですが、芳香が匂うような、いかにも風雅な色名です。

丁字は、香料諸島として知られるインドネシアのモルッカ諸島原産の熱帯植物で、中国でまず紀元前3世紀頃に知られるようになり、エジプト経由でヨーロッパに伝わったのが4世紀のことだといわれています。

それが日本にも伝わって正倉院にも残されており、10、11世紀の平安貴族に愛好されていたというのですから、香料や染料は古来の国際的商品であったことがわかります。

この染色は仏教でも尊重されて、僧衣にもよく用いられていました。

それでは【B】は何色?

【B】は鳶色(とびいろ)

鳶(とび)は昔から日本全国に棲息していたから、神武天皇の東征神話にも、天皇の弓の先にとまった金の鵄(とび)として登場しています。かつて軍功抜群の軍人には、この鳥をかたどった金鵄(きんし)勲章が与えられたものでした。それくらい日本民族には古来、きわめてなじみ深い、誰でも知っている鳥だったのです。

しかし、このありふれた鳥が色名になるのは近世になってからのことで、それ以前には、鳶の羽毛の茶色を色の名前にするという発想は全くありませんでした。

日常生活の中で、しょっちゅう見かける生き物である雀(すずめ)や鼠(ねずみ)などと並んで、鳶を茶色の色名に採用したのは江戸時代の庶民のようです。雀や鼠は英語でも色名になっていますが、鳶は英語の色彩辞典にも出てきません。その点で、これはいかにも日本的な色名といえます。鳶茶ともいいます。この名前は江戸風です。

なお、鳶色は、日本産業規格(JIS)「物体色の色名」で定められた「慣用色名」269色のうちの1色です。

※この記事は『増補改訂版 色の名前事典519』(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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監修者

一般財団法人

日本色彩研究所

日本で唯一の色彩に関する総合研究機関。1927年画家・故和田三造氏により日本標準色協会として創立。1945年財団法人日本色彩研究所として改組。1954年、世界に先駆けて「修正マンセル色票」の色票化研究に着手し、諸外国の研究機関に寄贈するなど、長年にわたり先端的な研究を続ける。諸省庁、自治体からの要請への対処、JISの制定や関連色票の作成等への参画、ガイドラインの提案などに携わる。

日本で唯一の色彩に関する総合研究機関。1927年画家・故和田三造氏により日本標準色協会として創立。1945年財団法人日本色彩研究所として改組。1954年、世界に先駆けて「修正マンセル色票」の色票化研究に着手し、諸外国の研究機関に寄贈するなど、長年にわたり先端的な研究を続ける。諸省庁、自治体からの要請への対処、JISの制定や関連色票の作成等への参画、ガイドラインの提案などに携わる。

増補改訂版 色の名前事典519

日本色彩研究所監修
福田邦夫著

日本における色彩研究の第一人者である「色の巨人」福田邦夫氏の色名事典のバイブル最新刊。福田氏ご逝去(2013年)の後、氏が深く関わった日本色彩研究所の監修協力を得て全面改訂。前作『新版 色の名前507』に12色を加えて519色に。JIS(日本産業規格)の269色を含む全色の正確な色見本にマンセル値、RGB、CMYKのデータを網羅。また、国内外の多くの文献をもとに色名から広がる色の世界が語られている。内容の信頼性の高さに加え、風趣に富む文章で色彩文化の読み物としても楽しめる。本改訂では平安時代からはじまる雅な「かさねの色目」79色をプラス。色値もすべて再確認し適宜修正、文章も現代に合わせて最低限の修正を加えている。色が好きな人、色の仕事に関わる人、すべてに「先人の色彩命名における言葉づかいの妙と、色に対する感性の豊かさを楽しんでいただければ幸いである」という福田氏の思いが伝わる決定版。

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