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パリ【女ひとり旅】サンジェルマン・デ・プレの街歩き&カフェでお茶を 中道あんさん流

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中道あん

「やっと着いた!」と窓の外からお店の様子をうかがうと、なんだか薄暗い。「ええっ!ここまで来て休み?」「どうして?」と思って、はたと気がついた。「今日は日曜日だった」。日本では日曜日は商売の稼ぎ時なので休まないけれど、そういえば2日目に行ったパッサージュ「パノラマ」でも休んでいる店が目立った。

あの日は 11月1日で万聖節(ばんせいせつ)といって、フランスが定める祝日だった。旅をしていると曜日の感覚がなくなっていき、日曜日だと気づいていなかった。人通りが少ないのはそのせいかもしれない。諦めきれない私は、窓ガラスに貼りついて中の様子をウンと眺め尽くした。マダム通りにあるこのお店に怪しいオバチャンが未練を漂わせていた。

さて、悪いことばかりじゃない。雑貨店に費やしたであろう時間がぽっかりあいたのだ。隣の5区までそぞろ歩きを楽しもうじゃないか。目的があって探すのもいいけれど、たまたま見つけたときのほうが喜びは大きい。それが「サン・シュルピス教会」だった。

左右の塔が特徴的でノートルダム大聖堂と変わらぬ大きな教会なんだけれど、その前にある噴水の広場に引き寄せられたのだ。その美しい彫刻にしばらく見 とれてしまった。噴水から湧き出る水がベールのような美しさでなんだか気持ちが洗われるようだった。パリの美術館や教会は、予約していても入り口で並ばなきゃなら ないほどだが、素通りしてしまうような教会なのに、よく見ると威風堂々としてカッコイイ。

日曜日の静かな通りに、ときおり姿を見せる荘厳な建物たち。オデオン座、ソルボンヌ大学、国立中世美術館、サンテティエンヌ・デュ・モン教会、パンテオン ——。探してもいないのに次々とおでましになり、いちいち圧巻。なんてところだパリは!

※この記事は『ビバ!還暦 60歳海外ひとり旅はじめました』中道あん著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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ビバ!還暦 60歳海外ひとり旅はじめました

中道あん著
主婦の友社刊

ひょんなことから50代にひとり旅を経験した著者。これまで「旅はだれかと行くもの」「ひとり旅って楽しいの??」と思っていたのに、経験してみたらものすごく楽しかった!そこから国内ひとり旅に目覚め、今回とうとう海外ひとり旅にもチャレンジ。しかも、目的地はずっとあこがれだったパリ!(ティファニーの指輪はあきらめて涙)。ただし、国内は旅慣れてきたとはいえ、純粋な海外ひとり旅は初めて。ホテルはどうする?言葉は大丈夫?ぼったくられたりしない??ドギマギしながら準備をし、いざパリへ!!60才を迎えた著者の初めて体験を通じて、読者もパリをひとり旅している気分になれる1冊。さらに、大人の女性のひとり旅ならではの実用情報も満載(荷物の準備は?資金の作り方は?言葉は?危険じゃないの?現地でどう過ごす?etc.)。クスッと笑える、繰り返し読みたいシニアのリアル旅エッセイ。

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