【ヒートショック】や【転倒】を防ぐために、年金世代が行いたいリフォームのポイントとは?
「老後のこれから、安心・安全に暮らせる住まい」にと、家をリフォームしたマナーデザイナーの岩下宣子さん。暮らしてみてわかった後悔しないリフォームのポイントを伺いました。
【前編】
【年金世代の後悔しないリフォーム】老後も安心・安全に暮らすための住まいの工夫とは?
お話を伺ったのは
マナーデザイナー
岩下宣子さん
いわした・のりこ●1945年、東京都生まれ。全日本作法会や小笠原清信氏らに作法を学び、85年に「現代礼法研究所」を設立。マナーの研修や講演、執筆などを行う。『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)など著書多数。夫の義弘さんは65歳で食品メーカーを退職後、さまざまな面で宣子さんをサポート。
【リフォームDATA】
・4LDK+ロフト
・3人暮らし+犬1匹
・一戸建て
工期は6カ月。リフォームを機にソーラーシステムを導入して、節約&省エネも実現した。
ゆとりの設計で予想外の出来事にも、しっかり対応
岩下家のリフォームの目的は“高齢になっても安心・安全で快適に暮らせる住まいづくり”。具体的にどこをどんなふうにリフォームしたかは、次のページから写真とともに説明した。
また“ものが多すぎる”という悩みも、リフォームを機に解消。夫婦合わせて5000冊以上あった本は時間をかけて分別し、2000冊以上手放した。そして残った蔵書用に書庫を造った。
あわせて、4畳半の納戸いっぱいにあった宣子さんの洋服も整理。大きな専用クローゼットを造って、見やすく選びやすく収納できるようにした。おかげで、服の管理が格段にラクになったそう。
しかしリフォーム後、ほどなくして娘が同居するようになり、2人家族から3人家族になった。
「さあこれからは夫婦2人で、シンプルな暮らしを楽しもうと思い、なるべくものを増やさないように心がけていたんです。でも家族が1人増えると、そのぶんのものが自動的に増えてしまうのよね。残念ながら、リフォーム前に思い描いていた暮らしとは、少し違ってきちゃった部分も出てきました」と宣子さん。
たとえばリビング上にあったロフトスペースは壁と階段をつけ、物置部屋にする予定だったが、現在は娘の居室になっている。
「せっかく本を処分したけれど、娘の本が入ったので、書庫がパンパンになっちゃった」と義弘さん。
宣子さんも「クローゼットも半分以上は娘にとられちゃっているの」。
しかし、書庫もクローゼットもゆとりをもたせて造ったので、家族が増えたからといって、新たにものを処分する必要はなかったそう。
「娘のものが加わったり、犬用につくったスペースがムダになったり……と想定外のこともあったけれど、リフォームして私は大満足です!」と宣子さん。
将来を見据えてのバリアフリー化、ハプニングがあっても対応できるゆとりをもった設計など、“転ばぬ先の杖”的な発想でリフォームした住まいは、安心・安全で快適そのもの。長生きが楽しみな住まいに生まれ変わった。