【要約小説】名作のあらすじを読もう!
有島武郎の『骨』あらすじ紹介。奇妙な友情、孤独、そして不器用に関わり合う彼らの選択とは?
公開日
更新日
ゆうゆうtime編集部
『骨』は有島武郎(ありしまたけお)が綴る、負け組と呼ばれる人生を送る勃凸(ぼっとつ)と"おんつぁん"の特異な友情の物語です。奇妙なエピソードとともに紡がれる二人の不完全な絆、その背後にある人生の哀しみとは?
▼他の要約小説も読む▼
>>【要約小説】名作のあらすじを読もう!小説特集波乱万丈な人生を送りつつ「おんつぁん」に惹かれる勃凸
勃凸は学校に馴染めず、中学を退学。その後、父親との不和から家を追い出され、友人宅での居候を続けるも退廃的な夜過ごしに身を染めていきます。彼が強烈に惹かれたのが隣室に居留する中年男性「おんつぁん」でした。沢庵漬けをかじり酒を飲む音を聞いて惹かれた彼は、徐々にその部屋に入り浸るようになります。時に叱責し、時には抱擁するような彼らの奇妙な関係が始まります。
自由と破滅の交錯—貸本屋での日々
おんつぁんが始めた貸本屋の仕事を手伝い、互いに全力で働くも、その陰には激しい飲酒や散財が絶えず、蓄えができません。勃凸の未熟さは徐々に限界を迎え、彼の暴走とおんつぁんの諦めが交互に描かれます。書物を巡る怒りや心に刻まれた家族の傷跡が加速する中で、ついにおんつぁんは勃凸を拒絶する場面を迎えます。
友情か、それとも逃避か?—札幌を離れ新たな始まりを模索する
行き場を失い、子どもたちに愛着を持ちながらも教員生活が長続きしない勃凸は、札幌に戻り再びおんつぁんを頼ります。しかし、おんつぁんは切羽詰まる状況にあり、最終的には一人東京に旅立つことを決断。孤独な勃凸の追憶と失意が描かれる中、物語は彼の独自の感性や激情に満ちた冒険談へ展開していきます。
"骨"が象徴するもの
物語終盤、「お袋の骨」を持ち歩く勃凸の姿は異様でありながら象徴的です。この骨は愛と執着の象徴であり、父への憎しみや母への想いを最も直接的に示しているかもしれません。その骨を失った際の動揺や、名も知らない芸者との短い交わりには、彼の内的空洞が覗けます。そして、彼の感触は日々の破滅と救い難い人間性を垣間見せます。
まとめ
『骨』は、有島武郎の描く哀愁と滑稽さが混在した短編小説です。社会との関わりに挫折しながらも他者とのつながりを模索する主人公・勃凸。そのうちに潜む脆さ、人間らしさ、再生と破滅のテーマが作品を通じ描かれています。おんつぁんとの奇妙な友情を中心とし、不器用に関わり合いながらも、その距離感がどこか切なく、また清々しさを感じさせます。混沌とした人間模様の中から浮かび上がる、それでもなお生きていこうとする彼らの姿は、私たち読者の心にも響くのではないでしょうか。有島武郎作品の本質的な魅力、ぜひご自身の視点で再発見してみてください。
▼あわせて読みたい▼
※本記事の一部には自動生成による文章を含みますが、内容は編集者が確認・監修のうえで掲載しています。正確性には十分配慮していますが、最終的なご判断は公式情報等をご確認ください。
骨
有島武郎(著)
青空文庫(刊)
※詳細は以下のボタンへ
