棺の中から聞こえた“死者のジョーク”「おーい、出してくれ!」は本当だった!?
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ゆうゆうtime編集部
1万体以上の検死・解剖に立ち会ってきた法医学医が見てきた、事件現場の“人間の物語”。一見すると不可解な死も、わずかな手がかりをたどることで、事件の真相が浮かび上がってきます。ノンフィクションでありながら、まるでミステリーのように読み進められる世界。『死体は語りだす』フィリップ・ボクソ著(三笠書房刊)から、一部抜粋してお届けします。第2回は、本当にあった「死者のジョーク」の話。
▼前回はコチラ▼
>>【事件現場のリアル】法医学者が明かす意外な真実! テレビドラマはどこまで本当?棺の中から聞こえた「死者のジョーク」
生きたまま埋葬される可能性に言及する話はごまんとある。
何らかの事情で死者を掘り起こしたところ、
・髪や髭が伸びていた
・死者が棺の中で姿勢を変えていた
・棺の蓋の内側に、爪で引っ掻いたような跡があった
などの話は誰もが耳にしたことがあるだろう。
これら全部が嘘ではない。例えば、人が亡くなっても、すべての細胞が同時に死ぬわけではなく、髪や髭をつくる皮膚細胞は活動を継続するので、人が死んだ後も髪や髭は数ミリ伸びる。頭を剃っていない限り髪の毛の伸びは目立たないが、髭をたくわえていない男性の場合、死後に髭が数ミリ伸びれば気づかれる。
死者が棺の中で姿勢を変えたとしたら驚きであるが、これも説明が可能だ。運搬時の揺れを主な理由として、埋葬時の死体の姿勢が棺を閉じる前とは違っていてもおかしくない。私は若いころ、コワント教区でミサの侍者を務めていた。地下の納骨堂に埋葬する場合、狭い入口を通すために棺を横に傾けることがあったのを覚えている。
ただし、棺の内側の引っ掻き傷は一度もお目にかかったことがない。
これは都市伝説だろう。
そうは言っても、仮死状態で埋葬された者が墓場から出てきたら……と恐れる読者は安心していただきたい。生きたまま葬られた人間は15分以上、生き延びることはない。我々の体が生き延びるためには酸素が不可欠だからだ。地表から少なくとも1メートル半の深さに埋葬された棺の中では、空気は循環しないし、換気も不可能だ。体が酸素を消費するにつれて血中の二酸化炭素濃度は上昇し、やがて人は意識を失い、心停止によって死が訪れる。墓穴から脱出して、葬儀に来てくれた人々に一言でも礼を述べようと思っても、時間切れになることは確実だ。
