【豊臣兄弟!】秀吉(池松壮亮)は「羽柴」から「豊臣」に改姓していない? 関白就任で変わった氏(姓)と名字の話
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鷹橋 忍
2026年NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」。当時の文化や時代背景、登場人物について、戦国武将や城、水軍などに詳しい作家・鷹橋 忍さんが深掘りし、ドラマを見るのがもっと楽しくなるような記事を月1回お届けします。今回のテーマは、秀吉の関白就任と「豊臣」姓です。
第36回「姫若子(ひめわこ)と鬼若子(おにわこ)」では、池松壮亮さんが演じている羽柴秀吉がついに関白にまで昇りつめました。今回は、この関白就任と「豊臣」姓について、取り上げたいと思います。
豊臣は名字ではない
まず、氏(姓)と名字(苗字)の違いからはじめます。一般に、秀吉は「羽柴」から「豊臣」へと「改姓」し、豊臣秀吉となったといわれますが、これは正しくありません。羽柴は「名字」で、豊臣は「氏」だからです。
氏と名字は、江戸時代の終わり頃から区別がつかなくなっていき、明治時代に同一化されましたが、戦国時代にははっきりと区別されていました(黒田基樹『羽柴を名乗った人々』)。
氏は、氏族集団の呼称です。「藤原」、「源」、「平」などがよく知られています。小栗旬さんが演じた織田信長と秀吉は「平」の氏姓を称していました。
名字とは
名字は氏よりも、限定的な「家」の呼称となります。名字が見られはじめたのは、平安後期~鎌倉初期からだといわれます。武士が所有する土地の名を称するようになりました。室町幕府の将軍家の「足利」も、「織田」、「徳川」、「毛利」、「島津」、「武田」、「伊達」なども名字です。
名字が発生してからは、武家は通常、名字を冠して呼ばれました(堀越祐一「「羽柴」「豊臣」には、どのような意味があるのか」 河内将芳編 日本史史料研究会監修『秀吉と豊臣一族研究の最前線』所収)。
ただし、秀吉は関白に就任した後は、あまりに身分が高くなったため、実際に名字を名乗る場面はなくなったといいます。山田涼介さんが演じる秀吉の甥・秀次(ひでつぐ)や、秀吉の子・秀頼(ひでより)も同様です(黒田基樹『羽柴を名乗った人々』)。
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