【女性の覚悟】坂東眞理子さん×早見優さん「50歳からはもう一度自分に投資をしたい」
40年の芸能生活は素晴らしい無形資産
坂東 「もう50歳だから」とか、何で若い人がそんなことを言うのかしら。70代半ばの私からすれば、50 代なんて本当に若いのに(笑)。
早見 でも私も最近、「ちょっと仕事しすぎじゃない? のんびりしなさいよ」なんて言われます。
坂東 そういう人、いるんですよ。一生けん命働いてきたんだから、そろそろペースダウンすれば?」と。
早見 でも私、やりたいことがすごくいっぱいあるんです。そのためには健康でいたいという気持ちもあるし。そんなときこの本に出合って、「やりたいことがたくさんあっていいんだ」と心強くなりました。
坂東 もちろんですよ! 私自身、まだまだやりたいことがあります。
早見 わぁ、素敵です! ご著書の中では、 50代からはお金や不動産などの「有形資産」より、よい人間関係などの「無形資産」を重視するべきというお話も印象的でした。
坂東 金額で測れるような有形資産は、インフレがどれだけ進むか、円安がどうなるかなど、環境によって大きく変わります。それよりも、数字では見えないけれども自分に何ができるか、どう評価されているか、そういったことのほうが老後には大きな意味をもつんですよ。 そのためにももう一度勉強し直すこと、無形資産を増やすための投資をすることが必要だと思います。
早見 なるほど~。
坂東 早見さんはデビュー 40周年を迎えられたとか。 それは素晴らしい無形資産ですよ。アイドル時代からのファンの方も多いですか?
早見 はい。長く応援してくださっているファンの皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。最近は親子でコンサートに来てくださる方やお孫さんを連れてきてくださる方もいら っしゃるんですよ。
坂東 わあ、いいですね!
早見 40年という月日の中で、お互いに結婚したり子育てしたり介護したりと似たような人生経験を積んできているので、 距離がグーッと縮んだように思います。今はファンの方は遠い親戚のような感覚(笑)。
坂東 そういうファンの方も無形資産だと思いますよ。年を重ねることによって、そういう資産が増えていくのはハッピーなことですね。
早見 本当にありがたいと思います。
坂東 逆に、昔の友達とはもうつき合わないという方もいますね。でも、人間関係を断捨離してしまうのは少し寂しいと思います。せっかく長く生きているのだから、無形資産や人的資産が増えるような年のとり方をしてほしい。年を重ねると若さやかわいらしさ、純粋さなど、いろいろなよきものを失いますが、失う一方ではなく得るものもあるはずです。これまでの生き方によって自分は成長し、人生が豊かになったのだということを評価するべきです。
早見 50年以上生きていれば、自分の財産になるものって絶対ありますものね。私は若い頃、何でもひとりでできると思っていましたが、子どもが生まれて、すべてが思いどおりにはいかないと気がつきました。子どものお迎えを人にお願いすることもありましたが、相手が快く引き受けてくれて、以前よりもその人との関係がちょっと近くなったりして。ときには人に頼るということも必要なんだなと実感しました。
坂東 何でも自分でできればいいけれど、できなくて人に頼んだとしても厳しく自己評価を下げなくていいんですよ。そういう経験をしたことで、できない人の気持ちに共感できるようになるし、感謝の気持ちや助けてくださった人との絆も強くなりますから。うまくいかなかったことが、実は人生の中であなたを豊かにしてきたのです。
早見 うまくいかなかったことをステップとして、ポジティブに考えることが大切なんですね。
坂東 できないことも成長するひとつのきっかけ。振り返ってみると、私もうまくいかないことがあってもこうして生き延びてきたわけですから、全部いい思い出です。