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エンタメライター田幸和歌子が語る【大奥】冨永愛×貫地谷しほりの最強タッグをもう少し見たくなる

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田幸和歌子

始まりました! 江戸時代の男女逆転の世界が描かれる、NHKドラマ10「大奥」。奇想天外なエンターテイメントに、毎週ひきこまれていく人も多いことでしょう。数多くのドラマレビューを執筆するライター田幸和歌子さんに、NHK版「大奥」について語っていただきます。
(ネタバレにご注意ください)

よしながふみ原作漫画×森下佳子脚本によるNHKドラマ『大奥』の第一話が1月10日に放送された。

これまで何度も映画やスペシャルドラマなどで映像化された人気作だが、本ドラマでは3代将軍・家光の時代から幕末、さらにこれまで映像化されたことのない大政奉還までを描くという。年末年始などのスペシャルドラマではなく、大河ドラマでもなく、通常のドラマ枠でこれをやってのけるのが、NHKドラマの贅沢さだ。なにせ衣装もセットも、ビジュアルだけで十分に魅せてくれる力がある。

江戸幕府3代将軍・家光の時代、若い男性だけが感染する奇病で、死に至る恐ろしい病の「赤面疱瘡」が流行したことで、男性が女性の1/4まで減少。男性は希少な「種馬」として育てられ、女性が労働の担い手となり、社会構造が激変。江戸城でも家光以降、将軍職が女子へと引き継がれ、大奥は将軍の威光の証として希少な男子を囲い、美男3千人と称される男の世界が築かれていくという物語。

第一話は原作と同じく「8代・徳川吉宗(冨永愛)×水野祐之進(中島裕翔)」の物語だ。

資金繰りの厳しい武家の水野は、「出世」への野心から大奥奉公にあがる。原作よりも貧乏っぽさは薄く、「野心」は青臭くストレート。その分、幼馴染の信(白石聖)と互いに思い合いながら、許されない恋のため、ツンデレなやりとりをするのが現代的でポップな印象だ。

「上様」にお目にかかれるかどうかの「お目見え以上」「お目見え以下」(正確に分けるなら「以上」と「未満」だろうが、これは原作通り)に分かれている大奥で、ド新人として入った水野は、その容姿の良さもあって、男たちによる新人イビリのターゲットになる。「レイプ未遂」がきっちり描かれたこともさることながら、男同士の嫉妬やドロドロ、さらに「BL」的関係性も匂わせるのが、さすがの森下佳子。NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』でも、大河ドラマ『おんな城主 直虎』でも、BL要素を盛り込んでいたことを思い出す。

水野は男たち相手の大立ち回りで有名になり、大奥総取締役の藤波(片岡愛之助)に認められ、御中臈に昇格。原作での柏木と水野の手合わせと確執、お針の間などのくだりがないため、出世の理由が「顔(の良さ)ってことじゃないですか」で片付けられているのは、尺の都合もあるのだろうが、大奥の薄暗さや、美しさの陰に潜む醜さが軽減され、これまたずいぶんポップな処理に。

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