脚本・演出により、作風もキャラクターもガラリと変わる、福原遥主演のNHK連続テレビ小説『舞いあがれ！』。第18週は、脚本がメインライターの桑原亮子氏から佃良太氏に交代、演出が「航空学校編」で分割画面を連発した野田雄介氏ということから、わかりやすいキャラ登場＆恋バナ多め＆唐突な航空学校編の仲間来阪など、セリフによる説明多め・テンション高め・ご都合多めのわかりやすい展開が描かれた。

IWAKURAでは菱崎重工の荒金（鶴見辰吾）から依頼を受けた航空機のボルトの試作品が完成。強度試験の結果、出来栄えは高く評価されるが、大量生産の設備の問題などから、発注先には競合相手が選ばれる。しかし、荒金は浩太（高橋克典）が菱崎重工時代の後輩だったと明かし、浩太の夢を継ぐ妻子を応援したい思いから、航空機部品に特化するつもりがないかと打診するが、めぐみ（永作博美）はリスクを考え、それを辞退する。全体的にIWAKURAパートは落ち着いたトーンで見やすいが、気になるのはその他のパート。

貴司（赤楚衛二）の「長山短歌賞」授賞を祝う場に久留美（山下美月）が恋人の医師・八神（中川大輔）を連れて現れ、八神がKYぶりを発揮。その後、八神の母（羽野晶紀）というわかりやすい悪役が登場し、結婚を認めないと言い、定職につかない父・佳晴（松尾諭）をバカにし、佳晴が土下座＆タックルする展開に。さらに八神も、久留美と佳晴に対して上から目線の発言を連発、佳晴に仕事を紹介するが、久留美は怒って別れを告げる。

その後、航空機部品を作るという父の夢を実質失った舞（福原）のもとに、航空学校時代の仲間・水島（佐野弘樹）と吉田（醍醐虎太朗）が訪問。作中11回も繰り返された「たまたま」の連発により、貴司が店長を務める東大阪のデラシネを無理やり会合場所にしたあたり、セットの都合と航空学校編メイン演出・野田氏の“手持ちの駒”的キャスティング事情もあるのだろう。あまりに不自然なだけに、もしかしたら貴司の「運命の相手」が水島か吉田なんじゃないかとすら思えてくるが、肝心の舞は「目の前が一気に広がったわ」と言っているので、それはそれで良いのだろう。

ただし、デラシネの店主になる以前は、旅人として全国各地をまわっていて、全国に知り合いがいるはずの貴司が「羨ましいな。舞ちゃんにはいろんなところに仲間がおって」とまで謙遜しなくても良いのではないか。その謙虚ぶりもまた、貴司なのだろうか。