【大奥6話】NHK初のインティマシー・コーディネーター導入。仲里依紗と山本耕史が現代にも通じる深い悲しみを演じる
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田幸和歌子
まるで心が壊れてしまったような綱吉は、大奥の中で思い合う若い男二人を呼び、3人で床を共にし、さらに2人でむつみ合う様子を見せろと命じる。それを右衛門佐が諫めると、綱吉は「これは辱めであったか」と怒りをあらわにする。
貧しい公家として、家族を養うため、美貌と教養を武器に「種付け馬」として重宝される自身の運命を呪ってきた右衛門佐と、毎夜、男たちとの夜の営みを聞かれながらも世継ぎを産む仕事だけを求められてきた綱吉――強く美しい狐と狸の化かし合いに見えた2人は、実は共に深い悲しみを背負っていた2人だった。
ちなみに、本作ではNHKで初めてインティマシー・コーディネーターを導入。ヌードやキス、性行為等の親密なシーンにおいて、制作者の意図を俳優に伝え、俳優を身体的・精神的に守りサポートするコーディネーターの介在により、撮影が進められたと言う。
数々の報道により、エンタメ現場での性加害問題が可視化されるようになった今、男性が「種付け馬の役割」のみとされ、将軍が「世継ぎを作るために腹を貸す役割」のみとされた、男女逆転劇でありつつ、現代にも通じる悲しみを描く本作が放送される意義を改めて感じざるを得ない。
田幸和歌子のNHK「大奥」レビュー
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