91歳 樋口恵子さんの課題。「ピンピンコロリは理想的ですが、現実はそう簡単にはいきません」
今年91歳になった評論家の樋口恵子さん。ヨタヨタヘロヘロの時期を過ごしているとおっしゃる樋口さんが考える、これからの課題とは? 話題の新刊『老いの地平線 91歳自信をもってボケてます』から、語っていただきましょう。
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91歳 樋口恵子さんが語る。「どうしても手放せない」2つのものとは?ピンピンコロリは幻想
私が理事長を務める「高齢社会をよくする女性の会」の広島代表で、社会学者の春日キスヨさんが、「ピンピンしている元気な時期の後に、半分自立しているヨタヨタヘロヘロの時期があり、その後にドタリと倒れて寝たきりになる」とおっしゃいました。
まさにヨタヨタヘロヘロになりつつあった私は「これだ!」と思い、「ヨタヘロ期」と名づけて、あちこちでお話ししたり書いたりしているわけです。名付けの親は春日キスヨさんですのでここに明記いたします。
その反響から春日さんが感じるのは、皆さん、ピンピンコロリ願望が強すぎるということ。
長く終末期介護のサポートをしている春日さんから聞いた話では、「ドタリと倒れてから半年くらいをピンピンコロリとするならば、実際にピンピンコロリで亡くなる人は1割ほど」とのことでした。
つまり、多くの人はドタリと倒れた後、数カ月から年単位で寝込むことになるのです。
そして、自立して日常生活を送れる健康寿命の割合は、女性よりも男性のほうが長い。介護保険の利用理由を見てみると、女性は骨折、転倒、骨粗しょう症、この3つの事故・疾病だけで全体の3割を占めます。要するに運動機能の問題です。一方、男性はというと、全体の3割を占めるのが心臓病、脳血管症。心臓および循環器系の病気です。
言ってしまえば、男性のほうが死にやすいということ。女性のほうは、骨折したってずっと生きているわけです。